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没後10年記念し「井上ひさし展」 創作の魅力迫る 市川市

市川にゆかりがある井上ひさしさんの作品=市川市
市川にゆかりがある井上ひさしさんの作品=市川市
文化人展で自宅書斎を再現したコーナーを見る井上さん=2007年2月
文化人展で自宅書斎を再現したコーナーを見る井上さん=2007年2月
「市川よ、ありがとう」自筆原稿(市川市文学ミュージアム提供)
「市川よ、ありがとう」自筆原稿(市川市文学ミュージアム提供)

 かつて市川市に住んでいた作家・劇作家、井上ひさしさん(1934-2010年)の没後10年を記念した企画展「井上ひさし展-とにかく書くのが楽しかった-」が、市川市文学ミュージアムで開かれている。「ドン松五郎の生活」や「吉里吉里人」など市川にちなんだ小説を紹介しているほか、自筆原稿、愛用品を展示している。9月6日まで。

 山形県小松町(現・川西町)生まれの井上さんは1967年に市川市に転居。87年までの約20年間にわたって、市川から小説や戯曲、エッセーなど発表。72年の小説「手鎖心中」で直木賞を受賞し、作家としての地位を確立した。市川を離れた後も、2004年から亡くなるまで市川市文化振興財団理事長を務め、市川の芸術文化振興に尽力した。

 多くの作品には市川の地名や街並みが描かれており、井上さんは2007年2月に市内で開かれた文化人展の際には「わたしの夢をほとんど叶(かな)えてくれた市川にいつも感謝している」との自筆メッセージを寄せた。同館の学芸員、山本夏子さんは「井上作品の重要な要素の一つに市川が挙げられるのでは」と説明する。

 企画展では、同市国分町のかつての自宅で床が蔵書6千冊の重みで抜け落ちる騒動などをつづったエッセー集「家庭口論」の自筆原稿を展示した。また、市川ゆかりの評伝劇5作品を取り上げ、作品を書き上げるための創作メモや参考図書を公開。必要な資料を納得がいくまで調べ尽くした井上さんの執筆姿勢がうかがえる。

 このほか、書斎に置かれていた辞書や原稿用紙などの愛用品をはじめとした資料約150点を展示。子どもたちが読書に親しんでもらうことを目指した文化活動も紹介し、言葉にこだわり続けた井上さんの魅力を伝えている。

 山本さんは「市川で過ごしたのは、30~50代までの脂が乗ったエネルギッシュな時代。新しい井上ひさし像を、若い人にも知ってもらえたら」としている。

 企画展は9月6日までの平日午前10時~午後7時半(土日祝は午後6時)。原則月曜日休館。一般500円、高大生250円、中学生以下無料。新型コロナウイルス感染防止のため、入室制限する場合あり。入館時にはマスク着用などを呼び掛けている。問い合わせは同館(電話)047(320)3334。


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