好きなこと満喫する 人生設計考えて移住を 長南・小橋暢之さん(74) 【房総移住スタイル】(3)

「四季の変化と共に生きるのは幸せ」と話す小橋さん
「四季の変化と共に生きるのは幸せ」と話す小橋さん
奥さんが経営する「田園カフェ」は、田舎暮らしサポートセンターの事務所を兼ねる=長南町
奥さんが経営する「田園カフェ」は、田舎暮らしサポートセンターの事務所を兼ねる=長南町

 「春、木々が葉をつけると山が膨らむ」。丘の上に建つ自宅から見えるのは水田と山だけ。移住して以来、19年がたつが、いまだに四季折々の情景の美しさに感動するという。「毎年繰り返す変化は確かなもので、安心できる」と話す。

 定年退職前に別荘として家を構え、移住してからは休耕田を借りて本格的に米づくりを始めた。2012年には遅れて移ってきた妻・安紀子さんが米粉を使ったパンを提供する「田園カフェ」を開店。同時に移住希望者に住居をあっせんするサポートセンター「田園生活」を立ち上げた。現在は2人の息子も近くに住み、田舎暮らしを満喫している。

 定年後には「『何もしなくていい自由』と『何をしてもいい自由』がある」と話す。選んだのはもちろん後者。「好きなことをやると、いきがいになる。自分は好きなことを存分にやってる」と笑顔をみせる。

 苦労もあった。「定住して農家になると、いろいろ付き合いが増える。神社の氏子総代など慣れないこともやった」。米づくりは基本的なことも知らないで「見よう見まね」で始めたと振り返る。

 それだけに若い移住希望者に「危うさを感じることもある」と話す。「やりたいことをやろうとするのは大賛成だが、生活基盤は必要」。特に農業で生活する難しさを分かっていない若者が多いという。古民家への移住も同様。「住みにくいから空き家になるんだから、住むには費用がかかる。憧れと実態がつながっていない」と警鐘を鳴らす。

 「しっかり人生設計を考えた上で、移住してもらいたい」。ハスの花が咲き、コイが川を泳ぐ自然豊かな長南町のいいところを案内してくれた小橋さん。第2の人生を送る場を心から愛している。


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