見る者圧倒する豪華さ TDLパレード×佐原の山車行事 娯楽性、おもてなしも通底 【夢の国から探る「和」TDR比較日本文化論】(上)

  • LINEで送る

TDLのパレード「ドリーミング・アップ!」のフロート
TDLのパレード「ドリーミング・アップ!」のフロート
「佐原の山車行事」の大人形が載った山車
「佐原の山車行事」の大人形が載った山車

 東京ディズニーランド(TDL)にパレードは欠かせない存在だ。開園35周年の今年は、新作「ドリーミング・アップ!」や夜の定番「エレクトリカルパレード・ドリームライツ」が連日公演されている。

 見どころの一つは、公演ごとに新たに作られるフロートだ。「ドリーミング・アップ!」では、ペガサスをあしらったミッキーマウスのフロートや、飛行するベイマックスのフロートなど13台が登場し、その豪華さで来園者を圧倒する。

 フロートが一般的に「山車」と和訳されることからも明らかなように、TDLのパレードは日本の山車行事と比較できる。例えば、ユネスコ無形文化遺産に登録された「佐原の山車行事」の場合、神武天皇や菅原道真など身丈約4メートルにもなる精巧な大人形が飾られた山車が街を巡行する。

 ミッキーと神武天皇では外見こそ異なるが、あるキャラクターを象徴的に飾った巨大で豪華な山車が音楽に合わせて巡行する-という形式は共通する。

      □       □

 一方、TDLのパレードは娯楽、山車行事は神事であり、「なぜ行われるか」の出自が異なるとの指摘もあるだろう。実際、神社の祭礼に関連した山車行事は多く、文化庁のユネスコへの提案概要にも「(山車は)祭に迎える神霊の依り代であり、迎えた神をにぎやかし慰撫(いぶ)する造形物」との説明がある。

 だが、山車行事のすべてが神事であるわけではない。佐原の場合、山車行事は神社の祭礼とは別の「つけ祭り」として行われてきた。つけ祭りとは祭礼における余興で、江戸の祭礼では見物客を楽しませることを目的に、さまざまな芸能が繰り広げられた。

 佐原の山車に多彩な大人形が飾られているのは、各町内が「余興としての山車行事」の豪華さを競ってきた証拠だ。その意味で佐原の山車行事は「神事というより、もっと芸能化した」(『写真文集佐原の大祭』)もので、見物客にとっては娯楽に他ならない。

 伝統的な神事と見られがちだが、「娯楽としての山車行事」という側面は確実に現代のTDLのパレードと通底している。

      □       □

 両者が娯楽であることは観光集客力からも裏付けられる。東京ディズニーリゾート(TDR)は年間3千万人を集める日本一のテーマパークであり、佐原の山車行事は夏・秋合わせて60万~70万人が訪れる集客力で県内上位の祭りだ。

 スマートフォン全盛の昨今、観光客向けの新たな取り組みも始まっている。TDRは7月、パレードやショーの鑑賞抽選などができるスマホアプリの配信を開始。佐原の山車行事でも近年、観光客が見どころを逃さないよう、各山車にGPSを取り付け、スマホへ瞬時に現在地を発信するサービスを提供している。

 見る者に楽しんでもらうため時代に合わせ変化を続ける「おもてなし」の姿勢にも響き合うものがある。

      ■       ■

 日本に根ざして35年がたつTDRを、既存の日本文化と比較すると何が見えてくるか-。きょう3日の「文化の日」に合わせ、三つの視点から探求する。

(市川支局・中島悠平)