房総の初日の出 銚子や鴨川が最も早く 【千葉地理学会連載 おもしろ半島ちばの地理再発見】

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初日の出の時刻
犬吠埼の初日の出(出典:ともに銚子市ホームページ)

 房総を走るJR線で1年に一度だけ走る列車があります。それは毎年、元日未明に、新宿方面から外房線周りで内房線の千倉まで走る「外房初日の出号」と、新宿・高尾・大宮の各駅始発で銚子に至る「犬吠埼初日の出号」です。

 2018年の元日は、外房初日の出号が3時に新宿を出て、5時25分に千倉に着きます。犬吠埼初日の出号は、1号が高尾を1時33分、3号が大宮を1時45分に出発し、新宿経由で銚子にそれぞれ4時21分、4時39分に着きます。

 5号は新宿始発2時42分で銚子着5時7分です。銚子からは銚子電鉄に乗り換え、17分で犬吠駅に着きます。特急運転で、主要駅に停車して行きます。「内房初日の出号」がないことでも分かるように、どちらも太平洋からの初日の出を見るための電車です。

 近年、銚子をはじめ九十九里から外房にかけての太平洋岸には、初日の出を見る見物客が増えており、多くが車で訪れます。銚子は東端ということもあり、道路が大変混雑しますので、列車の方が確実でしょう。

 実は、銚子に多く見物客が訪れるのは、離島や高山の山頂を除き、平地では国内で最も早く初日の出を見られる場所だからです。日本最東端の南鳥島には住民はおらずアプローチは困難です。富士山頂の方が銚子より早く初日の出を見られますが、厳寒の中、そう簡単には行けません。

 本土の最東端は北海道根室の納沙布岬、本州最東端は岩手県宮古市の魹ケ崎(とどがさき)です。銚子は国内でも本州でも最東端ではありませんが、地軸の傾きの関係で、元日をはさむ10日前後は、国内平地では銚子の日の出が最も早くなります。このため、とりわけ犬吠埼付近では多くの見物客が訪れるのです。元日の銚子での日の出は6時46分頃になります。

 実は、離島や富士山を除いて日本で一番早い初日の出は銚子ではなく、鴨川市の清澄山です。標高が377メートルあり、銚子より2分早い日の出になるのです。清澄山には自動車でも行け、アプローチも容易です。

 水平線から上がる初日の出は、新年の「ご来光」として実に「おめでたい」感じがします。しかしこの季節は、晴れていても水平線から直接上がる太陽はめったに見られません。海水温が低いことから水平線上に、地元の人から「土手雲」などと呼ばれる雲があることが多いのです。元旦も、その雲から上がる初日の出を見ることがほとんどです。

 水平線からの日の出を拝める確率なら、夏の方が高いでしょう。しかし、冬期の県内は晴れの天気が多いです。寒くはありますが、初日の出を拝むのに県内太平洋側はとてもふさわしいといえます。

 千葉県内にはこの他にも「初日の出スポット」がたくさんあります。初日の出の見物客に温かい飲み物のサービスやイベントなどをしてもてなしてくれる場所もあちこちにあります。防寒や渋滞の対策をして、初日の出を見に行ってみてはいかがでしょうか。

(県立長生高校・関信夫)