
―他に猛獣としてハイエナとチーターを入れると聞きました。
「はい。ちょっとずれますけどね。最初2016年にライオンで、他はその後。猛獣はそれで打ち止めです」
―ハイエナとチーターは何頭入れる予定ですか。
「どっちも4~5頭ずつ入れたいんですが、ライオンと違って簡単じゃないんですよ。チーター2頭ぐらいは今でもメドがつきそうな状況ですけど、チーターは割と早死になので、2~3年後に間違いなく手に入るかというと何とも言えない。近くになってみないとわからないですね。最終的には4~5頭どっちも入れたいんですが」
「ハイエナはチーターより難しくて、多分もらうわけにはいかないでしょうね。チーターはもらうのと買うのが半々ぐらいかもしれませんが、ハイエナは多分もらえない。どこかの動物園で運良く子どもが生まれるとか、そういうことがあるといいのですが。流動的な状況です」
―ハイエナは絶対量自体が少ないんですか。
「そうですね。繁殖にもあまり成功していない。量もチーターとハイエナだとチーターの方が多い。チーターはこのところ日本の動物園は繁殖がうまく行ってるんですよ。でも、ハイエナはそこまでメドがつかない。動物種によって状況が全然違いますね」
―ライオン以外の猛獣として、ハイエナとチーターを選んだ理由は何でしょうか。
「どちらもタレンティブな(タレント性のある)動物ですね、特徴が全然違うでしょ。同じような猛獣を入れても面白くないじゃないですか。ハイエナってのは犬系で、明らかに違ったたぐいの動物ですし、チーターはライオンと同じ猫科だけど、生態やスタイルが全然違うので。ある程度手に入りやすい、ということも考慮しています」
―ハイエナ、チーターはそれぞれどんな展示方法を考えていますか。
「チーターは基本的に平原を走る動物なので、モート(堀)を巡らせた広い平原で展示します。走るまではいかなくても、適当にフリーで歩き回るような感じで。ちょっと起伏や休むための藪も作ります」
「ハイエナはチーターの半分以下の広さで済むと思いますが、頑丈なコンクリートの建物を作り、ガラスを通して見てもらう予定です。見るモノをかじるんで」
―かじるんですか。
「かじります。歯が強いですから。ですので、ガッチリした建物が必要なんです」
―ハイエナはどういう姿が見られますか。
「わりと歩き回る動物なので、ウロウロと歩くことになると思います。ウロウロウロウロ歩いてもらおうかなと」
―一方で、チーターは哺乳類最速の動物と言われていますが、全速力で走る姿が見られますか。
「それは無理ですよ(笑)。展示場がそこまで広くない。また、何か追っかけるものがないと走らない。犬の仲間はやたらとウロウロ駆け回りますけど、猫の仲間は普段は静かにしていて、サっと走りだす瞬間芸の世界です。ライオンだって同じです。まあエサでもぱっと投げれば別でしょうけど、そういうことをしない限りは走らないですね」
「それでも、チーターはわりと動き回る方だと思います。動き回るというか、歩き回る、と書いてもいいですよ。走り回らないですから。なかなかチーターに走ってもらうのは容易じゃないです」
―この辺の展示方法は他の動物園と比べてどうですか。
「あまり変わらないといえば変わらないですが、比較的ウチは広いところでやれるかな、という気がします。広ければ、他園より動き回ってもらえると思います。チーターは足の速い動物なので少しでも走り回ってほしいですが、走るほどの広さはつらいかな。でもハイエナは工夫したいと思います」
―職員の方にとって初めての猛獣となりますが、他園に行って研修などはしていますか。
「研修という感じではなく、猛獣のいる園の動物舎を見に行ってもらってます。 上野動物園や横浜のズーラシア、多摩動物公園のライオンのいる施設にちょこちょこ視察に行ってますね。 動物舎、展示施設作りの参考にするために、施設自体を見てきている感じです。飼育に関しては研修する必要はないです。危険な動物なので安全面で注意が必要ですが、飼育自体はそこまで難しくないですから。肉食獣は結構簡単なんですよ。食べ物が簡単ですから。視察の際に、ついでに飼育方法も聞いているとは思いますが」
―他園の状況を研究して、受け入れ体制は万全に近づいてきましたか。
「そうですね。じわじわと万全に近づいてきていると思います。ちなみにライオンの飼育は難しくないですが、あれが簡単じゃないのは、怖いことですよ」
―ああ。細心の注意を払ってエサをあげないといけないですよね。
「大事なのは『確認』です。カギをしめたかどうかと、いま動物舎のどこにいるかの確認。これは1万回ちゃんとしたって、1回怠ったらアウトですから。カギ付き扉などのセーフティーネットを三重に作るので、もちろんお客さんのいるとこまで脱出することはありえませんが、カギを一つかけ忘れるだけで、職員が危険な目に遭いかねない。管理マニュアルも当然作ります。ただ、複雑怪奇なマニュアルにはならない。シンプルなものです。当然カギはかける。どこにいるかの確認。といった具合です」
―周辺地域から心配の声は出ていませんか。
「あまりないですよ。多少心配されてる方もいらっしゃいますが。周辺の自治会連合会には全て説明会を開いて、安心してもらっています。個別の自治会も徐々に回っておりまして、やっていないところも今後、依頼があれば積極的に出向きます」
―既に開いた説明会ではどんな声がありますか。
「安全管理をどうしますか? と聞かれて、三重のセーフティーネットを設けます、と答えるのが多い。あと、ガオーって声が聞こえますか? とも聞かれますが、園に近いところでは聞こえるでしょう、と答えています。風向きも影響しますし」
―夜中でも吠えたりするんですか。
「個体によりますけどね。基本的には夜中は吠えないと思いますよ。私が多摩動物公園にいたときは吠えていましたが、あそこは二十数頭いるんですよ。だから、隣同士でガオーなんて脅かし合ったりしているわけです。千葉はそういう飼い方じゃないから、夜は大丈夫だと思います」