

成田空港と東京都心を結ぶ成田エクスプレス車内で乗客のモバイルバッテリーが燃えているのを見つけ迅速に消火器で消し止めたとして、市川市消防局は東京都内在住のエアージャパン客室乗務員(CA)、脇川麻美さん(36)に感謝状を贈った。社内の消火訓練などでは「訓練教官」として指導に当たる脇川さん。同バッテリーによる現実の火災に直面したのは初めてで「日頃の訓練のおかげで意外と冷静に対応できた」と笑顔で振り返った。
9月26日午後6時ごろ、海外フライト勤務を終えJR東日本成田空港発新宿行き特急成田エクスプレス40号に乗って帰宅途中だった脇川さんは、焦げ臭いにおいに気付き、後ろを振り向いた。外国人の男性客が足下に置いたバッグ内の同バッテリーから白い煙が出ていた。
ほぼ満席の車両内が騒然とする中、脇川さんはデッキに設置された消火器を使って初期消火に当たった。同バッテリーの所有者はポーランドから旅行に訪れた男性で日本語を話せず、同電車が緊急停止した市川駅で市消防局が男性から話を聞く際には、脇川さんが英語で通訳した。
出火当時、同バッテリーは充電などをしておらず、原因は不明という。
消し止めるのに消火器1本半を費やしたことから「とても消しにくいと実感した」と脇川さん。同バッテリーは自身も日常的に持ち歩いており「古いものを処分するなどの管理が大事。火災がいつ起きるか分からないし、備えておかないといけないなと思った」と話した。
感謝状を手渡した吉村和弘消防局長は「勇気ある行動で、炎上拡大などを未然に防いだ」とたたえた。
同バッテリーなどリチウムイオン電池搭載製品による火災は全国的に増えており、市消防局は「電池の膨張や発熱など異常に気付いたら使用をやめ販売店や製造メーカーなどに相談してほしい。市川市の場合は市清掃事業課に問い合わせを」と呼びかけている。
(小北清人)
      




