煙も流れる通し土間 三夏の民家 絵・文 道塚元嘉 【民家の四季】

 日中激しく照りつけた太陽も昼下がりになると、目に見えて道の片側に日陰をつくり始める。片陰の農道を通る風がむせかえるような夏草の香りを運ぶ。その草の匂いに農村の原風景がこもっていた。

 沈みぎわの太陽は濃いあめ色となって三夏の暮らしを悩まし続けてきた。巨大なかやぶき屋根にすっぽりと覆われていた民家も、静かに暮れゆくのをじっと待っていたに違いない。その時の情景は取り返しのつかないこの年になっても鮮やかによみがえる。

 民家の表口から背戸口へ抜ける土の空間を県内では通し土間と呼ぶ。背戸へ抜けていった風は特有のかび臭みを含んで、爽やかさを運ぶ。背戸の木戸も溝が深まって建て付けの悪さが目立った。そのため三夏の日中は開放され ・・・

【残り 1234文字】



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