【千葉魂】ロッテ井上 開幕2軍からの逆襲 下半身鍛え直し、今季1号

7日のオリックス戦で右中間席に今季1号本塁打を放つ井上=ZOZOマリン
7日のオリックス戦で右中間席に今季1号本塁打を放つ井上=ZOZOマリン

 開幕を2軍で迎えた。井上晴哉内野手にとって開幕2軍スタートはプロ2年目の2015年以来の事であった。昨季は113試合に出場して15本塁打、67打点。長らくマリーンズの4番を務めてきた男は今年、観客のいない2軍グラウンドで静かに球春到来の季節を迎えた。

 「寂しい想(おも)いはもちろんありましたけど、自分の状態が良くなかったので仕方がないと思っていた」

 井上はその時の心境を語る。春先から、なかなか自分の打撃を取り戻せずに苦しんだ。本来の井上らしい迫力あるスイングから繰り出される力強い弾道はなかなか戻らず、結果的に開幕1軍メンバーから漏れた。福岡で行われた開幕戦も「自分のことで精いっぱいで結果は気にしていたけど、試合自体は見ていない」と振り返る。

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 2軍で取り組んだのは本来あるべき下半身を使ってボールを飛ばす練習だった。時間をかけて下半身をつくり直し、ロングティーなどで徹底的に下半身主導の打撃を体に染み込ませた。「これが自分の打撃だというものがあった」と下半身をいじめ抜き、バットを振り続ける中で思い出した感覚があった。そして少し心に余裕が出始めると1軍のナイトゲームもテレビで見るようになった。そこには同じ内野手のポジションの安田尚憲内野手、山口航輝外野手などが躍動する姿があった。

 「若手が試合に出ていて頑張っていた。自然と自分も頑張らないといけないという想いになった。2軍で結果を出して呼んでもらえるようにしないといけないと思った。あと、テレビで試合を見ているといろいろな発見があった。今まで1軍にいる時は目の前のプレーに精いっぱいだったけど、テレビで見ることで一歩下がって、いろいろなことに注目しながら見ることができた。それは、とても勉強になった」

 キャッチャー目線、相手投手目線、守備シフトやファン目線。試合中継の中でさまざまなことを考えた。解説者の話に耳を傾け、このプレーで自分ならどうするかと熟考した。これまで1軍で無我夢中でプレーをしてきた井上にとっては今までにない貴重な時間となった。

 「2軍にいる時間を無駄にしてはいけない。その時間があったから、この年で井上は、もう一つ成長したと言えるようにしたいと思い、色々と考え取り組んだ」

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 2軍で18試合に出場し打率2割8分1厘、2本塁打、15打点の成績を残し4月25日に1軍昇格。当初は代打としての出場が多く、なかなか結果が伴わなかったが5月7日のバファローズ戦(ZOZOマリンスタジアム)にて7番ファーストでスタメン出場すると、四回の第2打席。バファローズ先発の山岡泰輔投手のストレートを右中間奥深くに運んだ。風を切り裂いてスタンドに押し込む力強い弾道だった。

 「センターに強い打球を打ち込むことができた。しっかりと下半身を使えた実感のある一発だった」と本人も振り返る納得の一発。ダイヤモンドを一周しながら、手に残る確かな感触に自信を深めた。

 「まだまだ老け込むつもりはない。まだまだレギュラーを受け渡すつもりはない。最終的にシーズンが終わった時に2021年は最初、2軍スタートだったけど、結果的には、それがいい方向に出たと言ってもらえるような一年にしたい」と井上は意気込む。

 プロ8年目は思い通りにはいかず苦しいスタートとなったが、新しく力強く生まれ変わった姿で背番号「44」はスポットライトの当たる1軍の舞台へと華麗に舞い戻ってきた。逆境の中で自分を見つめ直し手ごたえをつかんだ大男は、難敵を力でねじ伏せてくれる。開幕2軍スタートからの逆襲が始まった。

(千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章)



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