2020夏季千葉県高等学校野球大会 あの瞬間を捉えた写真も多数

【千葉魂】安田、マーティンの助言胸に 打席で堂々と自らを疑わず

4番として好成績を残す安田=ZOZOマリン
4番として好成績を残す安田=ZOZOマリン

 背筋をピンと伸ばす。一つ深呼吸をしてマウンドのピッチャーを睨(にら)む。自分を信じて、自分を決して疑わない。安田尚憲内野手が打席の中で大事にしていることだ。心がけるようになったのにはキッカケがある。あれは6月27日のバファローズ戦(ZOZOマリンスタジアム)。試合は1-1の同点のまま延長十回を迎える。前の打者が敬遠で歩かされ1死一、二塁で代打として登場。この試合初めて出番を迎えたが、空振り三振に倒れた。試合は続くルーキーの佐藤都志也捕手の右越えのサヨナラヒットで勝利したものの、安田にとっては、自身の不甲斐(ふがい)なさに悔しさが残る一日となった。

 試合後、居残り特打を行うべく室内練習場に向かった。室内にはレオネス・マーティン外野手もいた。深くため息をつき、首を傾げながらバットを振る若者を助っ人はじっと見つめていた。そして一息ついたところで声を掛けてくれた。「打席で自信のない姿だけは絶対に見せるな」。メジャーリーグで770試合の出場経験を持つ男の言葉にハッとさせられた。そしてこの日の自分の打席を振り返った。2ストライクと追い込まれた後の自分の心境を思い返した。それは決して誇れるものではなかった。マウンドにいる投手も、きっと気が付いていたはずだった。フルカウントから外角145キロストレートに力負けの空振り三振に倒れ、肩を落としながらベンチに戻る背中が小さく見えた。

 「マーティンさんに指摘してもらって、確かにそうやなと。その通りだなと思いました。打席の雰囲気は大事。オドオドして打席に入ると相手投手に余裕が出てしまう。自分に自信を持って、どっしりと入らなくてはいけないと思いました」

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 それからだった。打席では自信を持って臨むように心がけた。弱い自分を押さえ込み、強気の安田がそこに立っていた。相手を見下ろすように堂々と足を踏み入れる姿があった。すると不思議と結果もついてくるようになった。

 その誇り高き立ち振る舞いに、助言を送ったマーティンは嬉(うれ)しそうに見つめた。「打席での雰囲気は大事だよ。自信なさそうに打席に立っていると、どうしても投手は分かってしまう。そうすると投手も余裕を持って投げることができるようになる。それを彼には教えてあげたかった。だって、彼は4番になる選手だからね!」。井口資仁監督も「打席での立ち方も貫禄が出てきた。どっしりとしている」と目を細める。

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 背番号「5」の背中にはオーラが漂う。スタンドから見守るファンからすれば、なにかやってくれそうな予感である。マウンドの投手からすれば、打たれそうな感じとなる。輝くためにありとあらゆる努力を繰り返し、失敗することを怖がらず、自分に自信を持ち、不可能なことなどないのだと言わんばかりに呑(の)んでかかることの大切さを知ったことで安田の視界は大きく広がった。21歳の夏のこと。その先には限りない可能性が待っている。

(千葉ロッテマリーンズ広報・梶原紀章)



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