【千葉魂】羽生選手に相通じる勝ちへの想い さあ、悔しさを晴らす時が来た

「プロは気付くかどうかで人生は大きく変わる」と話した鳥越ヘッドコーチ(左)。右は井口監督=3月、ZOZOマリン
「プロは気付くかどうかで人生は大きく変わる」と話した鳥越ヘッドコーチ(左)。右は井口監督=3月、ZOZOマリン

 朝からうなり声が選手サロンに響いた。3月24日、巨人とのオープン戦の練習前。東京ドームの食堂で新聞を読んでいた鳥越裕介ヘッドコーチが感嘆の声を上げた。

 「やっぱり違うな。これや、これやな。ウチのものはまだまだや」

 読んでいたのはフィギュアスケート世界選手権の男子フリーで羽生結弦選手が銀メダルを獲得した記事だ。見出しは「正直悔しい。負けは死も同然」。羽生選手は世界最高得点を記録したものの、直後に演技をした米国のネイサン・チェン選手が記録を更新したことで銀メダルに終わったという報道。その中の羽生選手本人のコメントには連続技を成功させ高得点をたたき出した喜びではなく、銀メダルに終わった悔しさにあふれていた。「強くならないといけないのを痛感している」、「負けには負けという意味しかない」、「ハッキリ言って自分にとって負けは死も同然」、「本当に勝ちたい」。負けん気にあふれる言葉の数々は、マリーンズというチームの意識改革に挑んでいる鳥越ヘッドの胸に響いた。

 だから、新聞を読み終わった後は新聞を片手にロッカーを歩き回った。そして若手選手を見つけると、記事内の羽生選手のコメントを読むように促した。

 「羽生選手を見習えとは言っていない。ただ、トップアスリートが、こういう事を口にしているぞと。それに対してオマエはどう思った? どう感じるか? というところ。あれだけ栄光がある人でも、そういう気持ちでやっている。極めている人には妥協はない。負けることの悔しさを知っている。こんなものでいいかとは思わず、つねに高みを目指している。その部分を同じアスリートとして感じとってほしいと思ったね」。グラウンドに姿を現した鳥越ヘッドは厳しい目で練習を見つめながら、一連の行動に動いた想(おも)いを説明してくれた。

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 「グラウンドは戦場」。井口資仁監督は昨シーズンの最終戦後に選手を集めてのミーティングで強い口調でそう口にして、個々で高い意識を持って戦ってほしいとメッセージを送った。それはグラウンドのプレーのちょっとした部分に甘えや弱み、緩み、油断を感じたからだった。ちょっとした隙間から敵は忍び寄りその結果、敗れた。その想いはヘッドコーチも共有。秋季キャンプから事あるごとに戦う姿勢を求めた。オープン戦でも選手たちには結果と共にプレーをする姿勢、打席の気持ちの持ちようの大事さを伝えた。

 「打席で絶対に打ってやろう。倒してやろうと思っているか。きっと思っているだろう。でも、まだまだ足りないな。もっともっと情熱を燃やしてきた。相手を圧倒するようなものをベンチにいるオレたちにも伝わるぐらい見せてくれ」と鳥越ヘッドは、選手たちに檄(げき)を送り続けた。

 戦うプロ集団への進化。井口監督をはじめとした首脳陣の方針は少しずつ実を結びつつある。キャンプインの2月1日から積極的に実戦を重ね、キャンプ期間も短くして対外試合を増やしながら実戦感覚を養うと同時に、戦うことを繰り返すことで真の戦闘集団の確立に情熱に燃やしてきた。その手応えを鳥越ヘッドも感じている。

 「プロは気付くかどうかで人生は大きく変わる。あの羽生選手の記事でもそう。すげえなあで終わるのか、何かを感じ、気付くのか」
 千葉ロッテマリーンズは夏場に失速し5位に終わった昨年の悔しさから多くの事を感じ、学んだ。新しく選手会長に就任した鈴木大地内野手は3月26日に千葉市内で行われた決起集会での締めのあいさつを求められると「昨年の悔しい気持ちを忘れたことはない」と熱く語った。それは選手全員の共通する想いだった。

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 少しずつ日々とキッカケを重ね、マリーンズは戦う戦士たちの集団へと変貌した。気高き魂が共鳴し合い、いよいよ始まる戦いの舞台へといざなう。3月29日、本拠地ZOZOマリンスタジアムにイーグルスを迎えての決戦。グラウンドは戦場。敵を迎え撃つ気概にあふれる。気魂充実の時。戦士たちが怒涛(どとう)の攻撃で敵を圧倒する。さあ伝説のシーズンが幕を開ける。悔しさを晴らす時が来た。

(千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章)



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