【千葉魂】地元で挙げた初勝利 ドラ2酒居、躍進の予感

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オリックス戦で、プロ初勝利を完投で飾り、ファンの声援に応える酒居=18日、京セラドーム(共同)

 不思議な縁を感じた。プロ初勝利に向けた次回先発の登板日を伝え聞いた酒居知史投手はその舞台が京セラドーム大阪だと分かると表情を引き締めた。大阪は枚方市出身。地元での登板であると同時に、そこは思い出の多いマウンドだった。

 「正直、うれしかったです。球場やマウンドのイメージもあった。そういった場所でしっかりと結果を出したいと思いました」

 大阪ガスに在籍していた社会人時代は京セラドーム大阪で行われた日本選手権で計36イニング無失点。さらに振り返ると中学3年夏に同球場で行われたバファローズカップで優勝した経験を持つ。枚方リトルシニアに所属していた酒居は先発して枚方ボーイズを抑え完投勝利。枚方対決を制したこともあり深く記憶に残っている。

 そして多くの想いが球場には集まっていた。この日、京セラドーム大阪に駆け付けた親族、知人の数は50人以上。88歳になる母方の祖母もわざわざ神戸から駆け付けてくれた。大阪ガス時代の同僚、所属していた部署の上司も足を運んでいた。多くの人の期待と想いを胸にマウンドに上がった。

 「応援に来てくれた皆さんのためにも勝ったところを見せたいと思っていた。勝つことができて本当にうれしい」

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 開幕は2軍スタート。しかし、焦ることなく自分の投球とプロのレベルの差を見つめ直した。プロでは失投は命取り。持っている球の精度を上げることに集中した。

 「自分の思った球をどれだけの確率で思い通りに投げることが出来るか。そこを意識してファームでは取り組んでいました。投げるたびに自信がついていた」

 2軍でコツコツと精度を上げたボールにバファローズ打線は凡打を繰り返した。酒居がキーポイントの一つに挙げるのは立ち上がり。先頭を打ち取り、1アウト走者なしで迎えたT-岡田にカウント3-2となった。流れを考えて四球は出したくない場面。ファウルで粘られて9球目。捕手からは内角スライダーの要求だったが、見逃されて四球になる確率やこの状況での打者心理を踏まえ、あえて一度、首を振り、外スライダーを選択。見事にイメージ通りに外に逃げるスライダーで空振り三振に打ち取った。

 「あの場面、迷って投げて後悔はしたくなかった。試合の中にはいろいろな状況や場面がある。その中で与えられた時間の中でしっかりと考えて、自分の悔いのない選択をしたいと思っていた。ファームではただ単に投げてきたわけではない。考えながらやってきましたから」

 1点リードの五回にも先頭に出塁を許すという状況があった。流れがどう変わるか分らない分岐点に気持ちを入れ直した。続く小島はバントの構え。高めストレートで1球目をファウルさせると、再度、同じゾーンを狙った。

 「バントが成功して送らせてもそれはそれでいいと思っていた。ただ、高めに直球を投げれば、もしかしたらフライになる可能性もある。トライした」

 結果はイメージ通りの小フライでのバント失敗。冷静な分析が功を奏していった。

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 ドラフト、新人自主トレ、春季キャンプではドラフト1位ルーキー・佐々木千隼投手に注目が集まった。「少しはうらやましいと思った部分はあった」。そう思いながらも「アイツとは入ってきたドラマ性が違う。オレはもともと、注目をされるような人生ではない。それにこっちのが自分のペースで出来る。プラスにとらえた」としっかりと自己分析。チャンスが来るのをじっくりと待った。

 「攻めた結果の失敗はいいと自分は思っている。とにかく何事もトライして攻めて、一歩踏み込んだ野球をしたい。失敗をして落ち込んだりしているのは嫌」

 クレバーな投球と強気の気持ちを併せ持つルーキーは我慢して努力を重ねた結果、大きな花を咲かせようとしている。開幕2軍スタートから一歩一歩と前に進み、確かな未来を見据えている。

(千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章)