【千葉魂】 鈴木大地、一からの出直し フル出場途切れ強い決意

 5月20日の西武戦(西武プリンスドーム)。鈴木大地内野手は試合をベンチで見守った。ライオンズの最後の打者・中村を二塁への併殺に打ち取り、勝利すると仲間たちとハイタッチを繰り返した。いつもの光景のようだが、鈴木大地にとっては、そうではなかった。マウンドでのハイタッチの輪にはいない。ベンチ前で仲間たちが帰ってくるのを待っていた。この瞬間、今年の目標の一つだった143試合フル出場が途絶えた。2年連続で続けていた記録は開幕からわずか40試合目、5月の段階で早くも途絶えた。

 「それは個人の記録であり、結果を残していない自分が悪い。それはもちろん、今年に入ってからずっと目標にしてきたことの一つですけど…」

 マスコミなどから問われると気丈にそう答えた。だが、心の中は揺れていた。不甲斐ない自分への怒り。早い段階で個人目標を失ってしまった悔しさ。しかし、それを口にすることも、表情に出すことは絶対にしないと決めていた。チームが勝った。今はそれを心から喜ばないといけない。キャプテンとして気丈に振る舞い、後輩選手などを満面の笑みでねぎらっていた。

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 スタンドに向かってあいさつをしている時だった。ポンと後ろから肩をたたかれた。振り返ると井口資仁内野手がいた。「やるしかない。明日から。また出直しだな!」。大ベテランの一言がうれしかった。自分が目標にしていたことを知っていたこと。そしてそれが途切れたことも理解していたこと。自分の心の内を読み透かしていたこと。抑えていた感情が胸からこみ上げてきそうになるのを必死にこらえた。

 「うれしかったというか、励みになりました。また一から記録をつくって、はるかにしのぐぐらいの数字を出してやろうぐらいの気持ちでいないとダメだと励ましていただいたのだと思いました。そうするしかないし、そうしないといけない。現実をしっかりと受け止めて、糧にして、これをキッカケに成長しないと絶対にダメと決意を新たにしました」

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 一晩かけてゆっくりと心の整理をつけて、また気持ちを入れ直した。翌21日の西武戦では代打で出場をすると、2打席目で中前打。一から出直すという思いで、ポジションを奪い返すという強い心意気でコツコツと結果を出すことを意識した。

 「2年連続で144試合にフル出場したという過去は、誇りと自信にはしたいと思っています。そしてそれが途切れた以上は、ここから再スタート。新しい一歩から、もっともっと先に突き進んで行こうと思うんです。同じような失敗をしないように、悔しさを忘れないように、一歩ずつまた地道に積み重ねていきます」

 肩を落とすことが多かった2015年の序盤。打てない日々、期待に応えられないことは鈴木の心を強く痛め続けた。チャンスで打てずにチームが敗れ、遠征先のホテルの自室で涙したこともあった。ただ、悔しさ、つらさを忘れずにバットを振り続けることで、鈴木大地はなにか本来の自分のスタイルを取り戻しつつあるように見える。つらいこととうれしいことは表裏一体。うれしい出来事ではなくて、悔しい思いこそが人を大きくする。背番号「7」は悶々とした日々を過ごす中で、何かをつかみ、成長をしている。キャプテンの逆襲が始まる。

 (千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章)



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