シリア人道支援、中ロまた拒否 安保理、危機に現実味

10日、シリア北西部イドリブ県で、ロシアと中国が国連安全保障理事会で、シリアへの人道支援に拒否権を行使したことに抗議する人々(ゲッティ=共同)

 【ニューヨーク共同】国連安全保障理事会は10日、内戦下のシリアに同国政府の許可なしで人道支援物資を隣国から越境搬入する事業について「トルコとの国境2カ所からの搬入を半年間継続」とした決議案を否決した。常任理事国のロシアと中国が7日に続き拒否権を再度行使した。10日は越境支援の期限で、物資の搬入停止による人道危機が現実味を帯びた。

 新型コロナ対策の医薬品を含め支援規模を維持したい欧米側に対し、反体制派への直接支援を減らしたいアサド政権の後ろ盾のロシア側が妥協を拒んだ形だ。反体制派が最終拠点とするシリア北西部で、支援物資に数百万人の市民が依存している。


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