2017年5月25日 17:19 | 無料公開
インタビューに答える教育評論家の尾木直樹さん
バラエティー番組で「尾木ママ」と親しまれる教育評論家の尾木直樹さんが古希を迎え、3月に法政大教授を退職した。「人生の第3ステージに入った」という尾木さんに、テレビ出演への思いや近著について聞いた。
取材場所に現れるなり、教員が長時間労働を強いられている現状を語り「深刻な事態なのに、皆で応援しようという雰囲気になっていない」と憤った尾木さん。近著「取り残される日本の教育」(講談社+α新書)でも危機感をあらわにする。
「狭い日本の中だけで競争し、大学の国際的な順位が落ちれば英語の壁と言う。競争主義から脱却し、個に寄り添わないと」などと訴える。
高校や中学で教壇に立ち、30代から教養番組などに出演していたが、転機は2009年末、60代で出た情報バラエティー番組で、司会の明石家さんまさんから「ママ!」と呼ばれたことだった。
「さんまさんの関西弁に気がゆるんだようで、いつもは頭で整理してからコメントするのに、このときは心の動きに従って話した。そうしたら、おネエ的なイントネーションだったらしくて」
「尾木ママ」はすぐに引く手あまたに。多い年は500番組に出演、講演会には募集定員の3、4倍のはがきが殺到し、“出待ち”の出現にスタッフが腰を抜かした。
バラエティー出演は自身の視野を「広げてくれた」という。「理論が正しくても、心を通して言わないと伝わらないと痛感しました。『子どもを丸ごと愛していいよ』『抱きしめればいいのよ』と言えば、分かってくれる」
「もっとパワーアップしたい」と尾木さん。4月からは法政大特任教授に就き、夏にはキューバを訪れ、教育状況を視察する予定だ。「日本の教育の“広告塔”の務めを果たすのが、第3ステージのテーマです」