変異株の抗体、期待ほど増えない 免疫「刷り込み」が影響か

免疫の刷り込みのイメージ

 新型コロナウイルスの従来株に免疫がある人は、変異したオミクロン株に対応するワクチンを打っても、オミクロン株に特化した抗体の量は期待ほど増えない―。厚生労働省の専門部会でこうした見解が示された。免疫の「刷り込み」と呼ばれる現象が影響した可能性がある。

 感染予防や重症化予防といったワクチンの有効性にどれほど影響があるかは不明だが、接種により幅広い免疫が得られるため、専門家はワクチンの意義は変わらないと強調している。

 米・ボストンの医療機関のチームは、従来株対応のワクチンを複数回接種した後に、さらに従来株ワクチンを追加接種した15人と、従来株とオミクロン株「BA・5」に対応したワクチンを追加接種した18人を比較。ウイルスの働きを抑える中和抗体の量を調べた。

 新型コロナ全般に対する抗体の量はどちらのグループも大きく上昇した。だがBA・5に特化した抗体で比べると、オミクロン株対応ワクチンを打った人は従来ワクチンのみを打った人と大きな差はなかった。


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