中上健次没後30年で特別講座 故郷・新宮の「熊野大学」

 今年で没後30年となる作家、中上健次が出身地の和歌山県新宮市で設立した市民講座「熊野大学」の特別セミナーが5日、市内のホールで始まり、長女で作家の中上紀さん(51)が講演した。セミナーは6日まで。

 紀さんは「亡くなってから父の著書をむさぼり読んだ。熊野は父に会う場所であり、父が守ろうとしていた場所。問題にぶつかると、父ならこうするのではと考える」と話した。

 中上は1976年に「岬」で芥川賞を受賞。多くの作品の舞台となった熊野地方の文化を見直すため「建物も入試もなく、卒業は死ぬ時」をモットーに、90年に熊野大学を設立。92年8月12日に46歳で死去した。


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