日米首脳の共同声明要旨 

 日米首脳が23日に発表した共同声明の要旨は次の通り。

 【ロシアのウクライナ侵攻】

 一、日米首脳はロシアによるウクライナへの残虐で、いわれのない不当な侵略との見解で一致。ロシアの行動を非難し、残虐行為の責任を負うことを要求。

 一、ウクライナの主権と領土の一体性を支持。

 一、国際社会結束の重要性を強調し、金融制裁などの措置を通じてロシアに長期的な経済的代償を科す。

 一、国連安全保障理事会常任理事国としてのロシアの無責任な行動、拒否権の乱用に深い憂慮を表明。

 一、バイデン米大統領は改革された国連安保理で日本が常任理事国となることに支持を表明。

 【「自由で開かれたインド太平洋」の推進】

 一、両首脳は中国へ国際社会と共に、ウクライナに侵攻したロシアの行動を明確に非難するよう要求。

 一、中国の核兵器能力の増強に留意し、中国に対して透明性向上と核軍縮進展への貢献を要請。

 一、インド太平洋地域の平和と安定を維持するために抑止力を強化することで一致。東シナ海でのあらゆる一方的な現状変更の試みや、南シナ海での中国の埋め立て地の軍事化などに強く反対。

 一、台湾海峡の平和と安定の重要性を改めて強調し、両岸問題の平和的解決を促す。

 一、中国とソロモン諸島との間の安全保障協定に懸念を表明。

 一、香港や新疆ウイグル自治区での人権問題に深刻な懸念を共有。

 一、日本周辺でのロシア軍の活動活発化に懸念を表明。中ロ間の軍事協力に引き続き注意を払う。

 【北朝鮮の核・ミサイル問題】

 一、韓国の新政権発足を歓迎し、安全保障での日米韓の緊密な協力の重要性を強調。

 一、大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射を含む北朝鮮による核・ミサイル開発を非難。朝鮮半島の完全な非核化追求を確認し、北朝鮮へ国連安保理決議履行を要求。

 一、拉致問題の早期解決に向けた米国の協力を改めて確認。

 【日米同盟】

 一、岸田文雄首相はミサイルの脅威に対抗する能力を含め、国家の防衛に必要なあらゆる選択肢を検討し、防衛力の抜本的強化に向けた防衛費の相当な増額を確保する決意を表明。バイデン氏は強く支持。

 一、両首脳は、米国の拡大抑止が強靱なものであり続けることを確保することの決定的な重要性を確認。

 一、サイバーや宇宙、新興技術の分野での協力加速を決定。

 一、米軍普天間飛行場の固定化回避に向けた唯一の解決策は名護市辺野古への移設。在日米軍再編の着実な実施を確認。

 一、バイデン氏は、日米安全保障条約第5条の沖縄県・尖閣諸島への適用を改めて確認。

 【経済安全保障】

 一、サプライチェーン(供給網)の強靱性確保に向けた協力を確認。

 一、次世代半導体の開発を検討するための共同作業部会の設立で一致。

 一、「日米経済政策協議委員会」(経済版2プラス2)を7月に開催する意思を表明。

 一、岸田氏はインド太平洋経済枠組み(IPEF)への支持を表明。

 一、両首脳はロシアへのエネルギー依存を低減するとの先進7カ国(G7)の方針を基に、アジアのパートナー国へエネルギー安全保障強化支援を探求。

 【宇宙開発協力】

 一、国際月探査「アルテミス計画」における協力の進展を表明。

 一、月周回基地ゲートウエーなどでの探査に日本人飛行士を含める。

 【新型コロナウイルス】

 一、ワクチンの公平供給に向け、COVAX(コバックス)などを通じた支援の強化を確認。

 【気候変動】

 一、「日米気候パートナーシップ」の下で協力を強化する意思を確認。

 【核軍縮】

 一、「核兵器のない世界」に向けて協働する意思と、核拡散防止条約(NPT)体制を強化することを確認。

 一、岸田氏は安全保障上の課題に対処しつつ、核軍縮に関する現実的な取り組みを進める重要性に言及し、バイデン氏は同意。


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