初夏告げる伝統の薪御能、奈良 3年ぶり一般公開

興福寺で行われた、古都奈良に初夏の訪れを告げる伝統行事「薪御能」=20日午後、奈良市

 古都奈良に初夏の訪れを告げる伝統行事「薪御能」が20日、奈良市の春日大社と興福寺で始まった。新型コロナウイルスの感染拡大で一昨年は中止、昨年は非公開で会期を1日に短縮したが、今年は3年ぶりに一般公開し会期も2日間になった。かがり火が照らす幽玄の舞に、約600人の観客が酔いしれた。

 薪御能は平安時代の869年に、興福寺の法会「修二会」で奉納された猿楽が由来と言われ、全国各地の野外能の源流とされる。観世、金春、宝生、金剛の4流派が競演し、狂言も演じられる。

 午後5時半ごろ、興福寺南大門跡に開演を告げるほら貝の音が響き、金春流による「葛城」が上演された。


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