南極で「火星模擬候補地」を探せ 観測隊が地形調査

火星模擬地の選定調査のため露岩域で岩石を採取し、写真撮影する野口里奈さん=21日、南極大陸・スカルブスネス(南極観測隊同行記者撮影)

 【南極大陸=南極観測隊同行記者】将来の火星探査に役立てようと、第63次南極地域観測隊(牛尾収輝隊長)は南極大陸で「火星模擬候補地」を探している。初期火星と似ているとされる寒冷で乾燥した南極で、地質や地形を調査。取得データを国内で分析し、適地があるかどうかを判断する。

 調査は夏隊員の新潟大助教、野口里奈さん(34)=福井県坂井市出身、惑星火山学=が露岩域5カ所で実施。スカルブスネスでは、赤茶けた岩肌にハンマーを振るい、岩石を採取した。現地の岩場や砂地の状況を調べ、将来的に探査機の実験フィールドとして活用できる場所も探す。

 野口さんは南極の岩石や水から、火星の地形の成り立ちや風化の過程を解明するヒントを得られる可能性もあるとし「高温多湿な日本では火星と似た環境を見つけること自体が難しい。南極と火星を橋渡しできればいい」と意気込む。

 火星地下環境探査は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が中心となって検討中。探査機の着陸候補地を選定する上で重要な科学評価や工学技術検討を行うため、日本独自の模擬地を探している。帰国後に調査結果を分析し、模擬地に適しているかどうか検討される。


  • LINEで送る