大阪保健所「限界」の悲鳴 濃厚接触者特定、企業一任

大阪・新世界を歩く人たち。府は「まん延防止等重点措置」の適用を政府に要請した=21日夕

 新型コロナウイルスの新規感染者数が21日、過去最多となった大阪府では、陽性者の体調を確認し、療養先を調整する保健所の業務が逼迫している。府は濃厚接触者の特定を陽性者が発生した企業に一任するなどして保健所の負担軽減を進めているが、保健師からは「既に限界だ」と悲鳴が上がる。

 「重症者が少なくても、感染者が増え続ければ保健所の対応は間に合わなくなる」「深夜まで仕事をした帰り道にマスクなしで飲み会をしている人を見かけて、何のために働いているのか分からなくなった」。大阪府関係職員労働組合には連日府内の保健所で働く職員の悲痛な声が届く。

 相談を受ける府職労の小松康則執行委員長は「業務量が多すぎるため陽性者への連絡はどうしても遅れていく。連絡は年齢などに応じて保健師が判断し優先順位を付けて行っており、現場で『トリアージ』的なことが起きている」と説明。過酷な現状を多くの人に知ってもらいたいと訴えた。

 大阪府では感染急増に伴い入院などの調整中の人が増えている。1月6日時点では17・7%だったが20日時点で33・1%となった。21日の府の対策本部会議では専門家からこれまでと同じ保健所業務は「不可能」との意見が示された。


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