「実名報道の必要性」議論 マスコミ倫理懇談会分科会

 新聞社や放送局などでつくるマスコミ倫理懇談会全国大会の分科会が3日、オンラインで開かれた。「実名報道―新たな理論構築に向けて」をテーマに、事件や事故の遺族への配慮や情報の公益性などの観点から実名報道の必要性について議論が交わされた。

 基調講演したジャーナリストの沢康臣専修大教授(新聞学)は、米国では日本と違って警察がインターネット上に実名入り報道発表文を掲載し、市民と情報を共有していると説明。「『報道発表』と『公表』が別概念となっている日本の事情が、報道による秘密暴露への批判を生んでいる」と指摘した。

 各社の編集責任者は匿名報道を実名に切り替えたり、社で判断が分かれたりした事例を報告。神戸新聞社の永田憲亮報道部デスクは「来年の改正少年法施行で18、19歳の実名報道が可能となっても、更生や社会復帰の可能性を考えた丁寧な取材が必要だ」と話した。

 静岡新聞の上原広彦社会部長は、逮捕を報じた記事で住所の番地まで表記された夫婦が同社に賠償を求めた訴訟を踏まえ、「番地を含めた住所は取材の端緒。掲載しないことで警察が公表しなくなることを警戒する必要がある」と強調した。


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