インド唯一の同性愛の陸上選手 視線気にせず自分らしく

陸上女子200メートル予選で力走するインドのドティー・チャンド(左)=国立競技場

 性に対して保守的なインドで同性愛者であることをカミングアウトした選手が東京五輪に出場している。陸上女子短距離のドティー・チャンド(25)。今大会にはLGBTQなどの性的少数者だと公表した選手が約180人出場しているが、インドからはただ一人。家族や一部の人から厳しい視線が注がれるが「人を愛するのは奪うことのできない権利だ」とたじろぐことはない。

 英BBC放送によると、チャンドが2019年5月に同性愛者であることを明らかにすると、家族の激しい反発に遭った。父親は「ふしだらで非道徳的だ。村の評判をおとしめた」と非難し、母親は「同性愛なんて認めない伝統的な地域社会に住んでいるのよ。親戚や近所の人に顔向けできない」と嘆いた。

 インド最高裁が18年、同性同士の性行為は合法との判断を示し、チャンドが同性愛を公表するきっかけになった。

 「みんなが肯定してくれるわけではないけど、家族の一部やファンは『あなたの人生はあなたのもの』と応援してくれる。だから私は異論は気にしない」。チャンドはツイッターで、自分の考えを貫く姿勢を強調した。


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