「努力無駄に」憤る福島の漁業者 「決定は最悪のタイミング」

東京電力福島第1原発処理水の海洋放出について、危機感を募らせる漁師の渡辺勝男さん=13日午前、福島県いわき市

 政府が東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出を正式決定した13日、福島県の漁業関係者からは「原発事故の風評に悩まされた10年間の努力が無駄になる」などと憤りの声が上がった。福島県の沿岸漁業は海域や操業日を絞った試験操業を3月で終え、ようやく本格操業へ向けた移行期間に入ったばかり。漁師らは「決定は最悪のタイミングだ」と嘆いた。

 いわき市の勿来漁港で漁具の補修作業中に「海洋放出決定」の知らせを聞いた、漁師渡辺勝男さん(82)は「事故後に後継者不足が加速した。海洋放出すればさらに若者が未来を見いだせなくなり、福島の漁業は衰退してしまう」と危機感を募らせた。


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