渡辺謙ら新作映画で舞台あいさつ 「Fukushima 50」

舞台あいさつに登場した渡辺謙(左)と佐藤浩市=東京都内

 東日本大震災発生時の東京電力福島第1原発事故で奮闘した50人の作業員たちを描いた映画「Fukushima 50(フクシマフィフティ)」(全国で公開中)の舞台あいさつが東京都内で開かれ、俳優の佐藤浩市、渡辺謙が登場した。

 新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、3月の公開開始時に予定されていた舞台あいさつが中止となっていた。渡辺は「あの日、いつか舞台あいさつができたらいいよねと思いました。それが今日です。この映画にとって新しい一ページになると思います」と感慨を込めた。

 佐藤は同原発1、2号機の当直長伊崎利夫役を、渡辺は当時所長だった故吉田昌郎さんをそれぞれ演じる。この日は吉田さんの命日で、渡辺は「厄災が起こったときに、何が一番大事か。現場の声なんだと思います」と強調。「現場を大事にした所長をこの映画を通して感じていただければ、吉田さんも喜んでくれるのではないか」と話した。

 今作への出演に、佐藤は「(原発事故を)自分たちがあまりに知らなかった」としつつ「あれだけ身近に起こったことなのに、なぜこんなに僕らは知らないのだろう。なぜか届いてこない、この不可思議さがあった」と振り返った。

 また、コロナ禍の最前線で働きながら偏見にさらされた医療従事者がいたことに触れ「(私たちが)正確に見聞きしていたのならば、避けられたかもしれない」と語った。渡辺も「見えない敵と向き合わざるを得ない恐怖に尽きる」と話し、原発事故と新型コロナとの闘いに共通する側面に言及した。


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