「訓告」、首相と法相で食い違い 黒川氏問題、答弁に「疑義」も

 辞職した東京高検の黒川弘務検事長(63)に対する「訓告」処分を決めた過程について、安倍晋三首相と森雅子法相との間で、説明が大きく食い違っている。森氏は、内閣と法務省が実質的に決めたと説明。これに対し、首相は「検事総長が事情を考慮し、処分を行ったと承知している」と強調した。法務・検察内からは「首相の説明がおかしい」との声が上がっており、「軽い」と批判される訓告を巡り、首相答弁に疑義が出た。

 検事長は、内閣が任命し、天皇が認証する「認証官」だ。任命権者は内閣で、その首長は安倍首相。国家公務員法では、懲戒処分は任命権者が行うと規定しており、過去には内閣が検事総長や検事長を懲戒処分したこともある。

 懲戒処分より軽い訓告は、法務省の内規に基づく。今回の黒川氏の処分は、上司に当たる検事総長が主体なのは事実だ。

 問題は過程にある。森氏は22日午前の記者会見で「法務省内、任命権者である内閣とさまざまな協議を行った」とした上で「最終的に内閣において決定がなされたものを、私が検事総長に『こういった処分が相当であるのではないか』と申し上げ、検事総長から訓告処分にするという知らせを受けた」と語った。

 つまり、まずは内閣と法務省で調査・検討し、内閣が行う懲戒処分には当たらず、内規の訓告以下であると判断し、検事総長に最終判断を委ねた―という流れだ。

 関係者によると、実際、週刊文春報道が出た当初、法務省内では「退職金が全額出ることになるのは理解が得られない」(幹部)との見方もあり、黒川氏を懲戒処分することも含めて調査が進められたという。

 一方、安倍首相は22日午後、衆院厚生労働委員会で、野党から「(黒川氏に)重い処分が必要では」と追及され、「検事総長が事案の内容など、諸般の事情を考慮し、適切に処分を行ったと承知している」と何度も繰り返した。内閣という言葉は使っておらず、処分の検討過程に関わっていないかのような印象を与える。


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