ホテルに美大生らのアート作品 産学協同で、東京

4階の客室廊下に飾られた多摩美術大の学生による染め物作品=東京都江東区

 美大生らによるアート作品で建物内を装飾したホテルが東京都内にオープンした。JR京葉線潮見駅前に立つ「東京イーストサイド ホテル櫂会」(東京都江東区)。産学協同プロジェクトで制作された約120点の織物や染め物、イラスト作品が宿泊客を出迎える。

 将来の芸術家養成に貢献しようと、ホテル側が多摩美術大に作品の提供を依頼。テキスタイルデザイン専攻の学生を対象に「和」をテーマにしたコンペを実施し、選ばれた織物や染め物作品を客室内などに展示した。

 最も目を引くのは、グランプリに輝いたイスラエル人の大学院生ヤエル・ハルニクさんの「Echoes 響く」で、1階エレベーターホールに展示された。ろうけつ染めの大型作品で「時の変化」を表現したという。

 このほか大学の授業で制作した作品も採用され、4階の客室廊下には、染料のにじみを生かしたカラフルな染め物などが飾られている。

 総支配人の横田秀満さん(50)は、プロジェクトのきっかけについて「これからプロの芸術家となり、未来へ挑戦していく若者にスペースを提供し、ホテルに合った作品を作ってもらえないだろうかと考えたことだった」と話す。

 担当教授の高橋正さん(68)は「若い学生のみずみずしい感性と情熱を見ていただきたい」とコメントしている。

 3月には、東京コミュニケーションアート専門学校の学生が描いたイラスト「47都道府県擬人化」も展示する予定で、新しいアート空間として注目を集めそうだ。


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