シリア人労働者の沈黙描く映画 元兵士が監督、日本で初公開

インタビューに答えるジアード・クルスーム氏

 内戦が長引くシリアから逃れ、隣国レバノンの高層ビル建設現場で黙々と働くシリア人労働者の受難を追ったドキュメンタリー映画「セメントの記憶」が23日、日本で初公開された。監督は亡命した元シリア軍兵士。登場する労働者たちがカメラに向かって話す場面はなく、苛酷な労働環境とそこから見える風景を淡々と描く異色の作品だ。

 監督はシリア中部ホムス出身のジアード・クルスーム氏(37)。現在は難民認定されたドイツで暮らす。公開に合わせて来日し、取材に対し「労働者たちは胸に抱える苦しみを話す権利がなかった。だからこそ言葉を使わずに彼らの物語を作りたいと思った」と話す。


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