中曽根氏、核の傘弱体化を懸念 INF交渉で対米独自外交

ソ連紙に公開されたSS20(タス=共同)

 冷戦下の1986年、米ソ中距離核戦力(INF)削減交渉を巡り、中曽根政権が「核の傘」の弱体化を懸念し、対米独自外交を展開した経緯が19日公開の外交文書で分かった。アジア向けに配備したソ連の中距離核ミサイル「SS20」を半分残す案に傾くレーガン大統領に対し、中曽根康弘首相は全廃を要求。米側に翻意を働き掛けるよう指示する駐米大使宛て訓令書も明らかになった。

 こうした日本側の訴えが奏功し87年、米ソの全廃合意につながった。被爆国の反核世論を意識しながらも、米国の核抑止力を重視してきた日本が大国間の核軍縮交渉に影響を与えた異例のプロセスが浮き彫りになった。


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