東京大会までに解決を 平昌ボイコットは非現実的 

インタビューに答えるWADAのクレイグ・リーディー委員長(共同)

 世界反ドーピング機関(WADA)のクレイグ・リーディー委員長(76)=英国=がインタビューに応じ、組織的なドーピングで資格を停止しているロシア反ドーピング機関(RUSADA)の処分継続を決めた問題で「2020年東京五輪・パラリンピックまでに解決し、影響がないことを願う。改革は進んでおり、期限を設けて資格回復の道筋を見つけたい」との考えを示した。(ソウル共同)

 ―ロシアが国ぐるみの違反を公式に認めることが処分解除の条件だが、議論は平行線だ。

 「最大の難関ながらロシアには変化の兆しもある。WADAはもう一つの条件でモスクワ検査所に保存されている尿検体の提供とデータへのアクセスを求めている。ロシアの調査委員会との交渉が進行中だ」

 ―来年の平昌大会のロシア参加問題では、国際オリンピック委員会(IOC)と国際パラリンピック委員会(IPC)の判断が注目される。

 「IOCのバッハ会長はクリーンな選手の権利と国全体の責任との間で12月に難しい政治決断を迫られる。ロシアは個人資格などの条件付き参加の場合はボイコットも辞さない構えというが、非現実的で選手を傷つける。ただ、疑わしき灰色の選手が混在するような大会は見たくない」

 ―WADAはロシアの不正を認定した調査チームのマクラーレン報告書を裏付ける新たな情報も入手したと公表した。

 「12年から15年にモスクワの検査所で実施された検査データが入った電子ファイルだ。詳細な中身はまだ言えないが、大規模で確固たる証拠になると自信を持っている」

 ―検査の不正をなくすため新たな独立検査機関(ITA)も始動する。

 「ロシア問題を教訓に、競技団体や政府が検査に関与できないようにし、組織の透明性を高めることが最大の目的。平昌、東京大会に向けた第一歩になる」


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