奈良で「薪御能」始まる ゆらめく炎、幽玄の舞 

かがり火がゆらめく中、奈良市の興福寺で始まった伝統行事「薪御能」=19日夜

 古都に初夏の訪れを告げる伝統行事「薪御能」が19日、奈良市の春日大社と興福寺で始まった。かがり火がゆらめく中、繰り広げられる幽玄の舞に観客らが見入った。

 薪御能は平安時代、興福寺の法会「修二会」で奉納された猿楽が由来。全国で行われる野外能の源流とされ、観世・金春・宝生・金剛の4流派が競演し、狂言も披露された。

 午後5時半ごろ、興福寺南大門跡「般若之芝」にほら貝の音が響き、儀式の後、金春流が「玉葛」を上演。夕闇が迫る頃、たいまつを手にした興福寺衆徒が薪に火をつけると、舞台がいっそう神秘的に照らし出された。

 20日には春日大社で「御社上の儀」などが行われる。


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