36施設、安全配慮足りず 出産後の早期母子接触 

 出産後すぐ赤ちゃんを抱っこしてもらう「早期母子接触」に関する厚生労働省の初の全国調査で、赤ちゃんの急変に備えて医療従事者が付き添っている医療機関や助産所が80・8%に上る一方、2・4%に当たる36施設はこうした安全確保策を「何も行っていない」と回答したことが20日、同省への取材で分かった。

 厚労省は「ごく一部の施設とはいえ、安全への配慮が不十分」とし、実施時の安全管理徹底を求める通知を出した。

 早期母子接触は母子の絆を強めたり、母乳の出がよくなったりといったメリットがあるとされる。ただ、生まれて間もない赤ちゃんは呼吸や循環が急に不安定になるケースがまれにあり、日本周産期・新生児医学会などは2012年、赤ちゃんの呼吸状態をチェックすることなどを盛り込んだ「早期母子接触実施の留意点」を公表している。

 調査は日本産婦人科医会と日本助産師会の会員である産科医療機関、助産所を対象に昨年5~6月に実施。14年または14年度に扱った「37週以上42週未満の正期産」について、全国の分娩施設の約6割に当たる1680施設の回答を集計した。

 それによると、1482施設が早期母子接触を実施。安全管理の取り組みの内容では、複数回答で「医療従事者が付き添い赤ちゃんを観察」が80・8%を占めた。「パルスオキシメーター(血液中の酸素飽和度を測定する機器)を赤ちゃんに装着」44・7%、「呼吸数、心拍数を測定」20・3%、「体温を測定」20・2%、「何も行っていない」は2・4%だった。

 肌と肌を合わせ抱っこする方法を採用している施設が36・0%で、産着やタオルで包んだ赤ちゃんを抱かせるなど他の方法が47・1%、これらの併用が16・6%。時間は30分未満が38・9%と最も多く、30分以上2時間以内が30・0%だった。


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