「百折不撓」悲願の王位 四街道出身・木村一基棋士 将棋、最年長46歳で初タイトル ファン応援に感謝

インタビューに応じる木村一基新王位=6日午前、千葉市中央区の千葉日報社
インタビューに応じる木村一基新王位=6日午前、千葉市中央区の千葉日報社

 将棋の第60期王位戦7番勝負で豊島将之王位(29)を破り、対戦成績4勝3敗で王位を獲得し、自身初のタイトルを奪った挑戦者の木村一基九段(46)=四街道市出身=。46歳3カ月での初タイトル獲得は最年長記録で、今回が7度目のタイトル挑戦だった。堅固な守りを得意とし「千駄ケ谷の受け師」の異名を持つ、苦労人の悲願達成までの思いなどを聞いた。

(佐倉支局・馬場 秀幸)

 悲願達成にも、ひょうひょうとしていた。「実感そのものがあまりなく、勝ったことを意識する余裕はなかった。1回勝っただけなのに、報道陣がどっと押し寄せてきて驚いた」-。

 将棋を始めたのは幼稚園の頃。すぐさま、その面白さに魅了され、小学6年の時にプロ棋士の登竜門、奨励会に入会した。中学3年までに二段となったが、三段昇段に約2年、さらに三段リーグを抜けるのに6年半を費やし、プロ入りしたのは23歳の時だった。

 「正直、きついなあと思ったりもした。奨励会は、26歳まで四段に昇格しないと辞めないといけない。二十歳を過ぎた辺りからいろいろ考えるようになった」。だが、自身のスタイルでもある守りの強い独特の将棋で、10年後には最上位リーグ、A級まで昇格した。

 忘れられない苦い思い出がある。2009年の棋聖戦5番勝負と王位戦7番勝負。いずれも初のタイトル獲得まであと1勝に迫りながら、念願はかなわなかった。「まさか自分がこうなるとは、夢にも思わなかった」。11年には、棋士の序列を決める「順位戦」でB級1組に降級した。

 転機は13年、40歳を迎えた頃に訪れる。「このままではいけない」と一念発起。気持ちを入れ替え、翌14年には5年ぶりに王位への挑戦権を得たが、この時もタイトルに届かなかった。「もう縁がないものだと思ってました」と振り返る。

 4度目の王位挑戦となった今回、王手をかけられながらも粘り強さを発揮。座右の銘でもある「百折不撓」(ひゃくせつふとう)の精神で、何度失敗しても信念を曲げずに悲願を果たした。「負けたら、もう次はない。一局、一局を大事に指した」とうなずいた。

 若い世代が次々にタイトルを獲得する中で、多くの回り道をしてきたが、「苦しい時も応援し続けてくれたファンがいた」と感謝する。初タイトルを獲得し、遅咲きの大輪を開かせた。

◇きむら・かずき 1973年6月23日生まれ。四街道市出身。昭和学院秀英高から亜大に進む。師匠は故・佐瀬勇次(旧松尾町出身)名誉九段。97年4月に四段昇段しプロ入り。新人王戦、朝日杯将棋オープン戦で優勝。将棋大賞では2001年度に勝率1位、最多勝利、最多対局の3部門を受賞。テレビ解説などでの軽妙なトークも人気だ。


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