後輩右腕に託した約束 けが克服、復活の熱投 小金高・小沼亮平投手 【100回目の夏 白球を追って】

けがを乗り越えて登板した小金の小沼亮平投手=19日、習志野市の第一カッター球場
けがを乗り越えて登板した小金の小沼亮平投手=19日、習志野市の第一カッター球場

 けがで目標を失い暗闇をさまよったが、仲間の支えを得て“最後の夏”のマウンドに戻ってきた。「シード校を倒して甲子園に行こう」。小金の小沼亮平投手(18)は仲間との約束を胸に、互いに認め合う後輩右腕とチームを4回戦まで導いたが、壁は高く厚かった。「自分のせい。ふがいない」と目頭を押さえた左腕。果たせなかった約束の実現を後輩右腕に託しマウンドを去った。

 昨夏は甲子園出場経験のある強豪に大敗。新チーム結成後、悔しさを忘れないために相手校名を帽子のつばに書いて投げ込みに励んだ。しかし昨年11月、腰に激痛が走る。学校生活は送れたが、練習からは長期離脱を強いられた。

 チームのモットーは投手中心に守り勝つ野球。その軸になるべきなのに…。投球ができないもどかしさと焦り、チームへの申し訳なさ。そして治るのかという不安。「野球なんて」。自暴自棄になりかけた時、仲間たちから声を掛けられた。「打撃練習を頑張るよ。打力でお前を支えるから、安心してゆっくり治せ」

 うれしくて、頼もしかった。暗闇に光が差した瞬間だった。「自分ができることから」と一念発起。体幹トレーニングなどで基礎体力を高めて、春季大会に復帰を果たした。

 迎えたシード校との対戦。しかし、相手に狙い球を絞られ、二回途中でマウンドを後輩右腕の由良一翔投手(16)に譲った。変化球中心の小沼投手に対し、速球派の由良投手。タイプは違えど互いに実力を認め合い切磋琢磨(せっさたくま)してきた。継投はいつものことだが、序盤での交代は想定外。相手打線の勢いは由良投手でも止めることはできなかった。「俺が全部悪い」。先輩は敗戦の責任を一身に背負った。

 「ありがとな」。試合後、先輩は照れくさそうに笑うと、その場をさっと離れた。背中を見送った後輩はうなずき「大好きな先輩と一緒にプレーできて良かった。これからは自分がチームを引っ張る」。先輩から後輩へ、2人にしか見えないバトンが引き継がれた。


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