
市川市は市独自の生ごみ専用回収箱「スマートごみ箱(仮称)」の開発に乗り出し、来年度から実証実験を始める。村越祐民市長が市長選で公約した可燃ごみの収集回数増が実現できないため考案した“代案”。公共施設に常設し、ICカードを使って市民を認証する仕組みを検討している。市によると、全国初の取り組みだが、別のごみの混入防止や防臭などの課題があり、市民に定着するか注目される。
同市は前市長時代の2017年4月、各家庭からのごみの排出量削減を目指して可燃ごみの収集回数を週3回から週2回に減らした。しかし、家庭内での悪臭に悩まされた市民から週3回に戻してほしいとの要望が強く、昨年4月の市長選で初当選した村越市長も収集回数を増やすとの公約を掲げていた。
自前の最終処分場を持たず、ごみ削減の維持・拡大は市の最重要課題。このため、村越市長は初当選後に開いた市民との対話集会で、夏場に限って生ごみと紙おむつの収集を週1回追加することを提案。市民や議会に理解を求める意向を示したが、ごみ資源化の推進と市民の利便性確保の両立を図れないとして議会で同提案を撤回し、生ごみをいつでも捨てられる方法を模索してきた。
そこで打ち出したのが、生ごみだけを回収する専用箱の開発。専用箱は異物混入と市民以外の投棄を防ぐため、市民が生ごみを投入する際にICカードで認証する仕組みを検討している。回収を効率的に行うため、生ごみが一定量に達すると、センサーが収集業者に知らせる機能も付ける。ごみ集積所とは別に公共施設を中心に300カ所程度に設置する方針だ。
市循環型社会推進課は「(300カ所は)郵便ポストと同じくらいの感覚」とするが、市内のごみ集積所は約2万3千カ所。市民全体の利便性確保には疑問が残り、不燃物や危険物などが捨てられないかや、悪臭が発生しないかなど防犯や衛生面での不安や課題もある。
市は専用箱の開発委託費として300万円を一般会計予算に計上。本年度中の開発を目指す。幅員の広い歩道に置くことも考えたが、悪臭の発生を懸念して当初の設置場所は公共施設周辺に絞り、来年度から実証実験を始める。
村越市長は「事業が完成したときには、週に2回や3回ではなく常に生ごみが捨てられる状況になる。当初の目的を高い次元で追求していく」と話した。