負の影響点検し改善 不信感?「最初はお白州」 円卓会議経て共生委へ 【ナリタ30年 地域と空港】

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 一九九三年九月二十日、成田空港問題円卓会議が始まった。シンポジウムは成田空港問題の歴史的経緯の検証が主な内容だったが、円卓会議は地域と空港の共生の在り方を討議の目的として、反対同盟・元熱田派、地元住民代表、運輸省、県、新東京国際空港公団などが参加していた。運営はシンポと同じく隅谷調査団が当たった。

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 第十二回会議(九四年十月十一日)で隅谷調査団は、最終所見を発表した。滑走路問題について、運輸省が必要とする平行滑走路建設は「世論の趨勢や地域社会の多くの意見を踏まえれば理解できるところ」としたものの、用地取得では「強制的手段を用いてはならず、あくまでも話し合いで解決されなければならない」と釘を刺した。そして、横風用滑走路は、平行滑走路完成後、環境への影響などを調査しあらためて提案、地域の賛意を得て進めるのが適当―とした。

 このほか、地球的課題の実験村構想の検討、空港の建設・運営の公正さを担保する第三者機関として仮称・共生懇談会の設置などが盛り込まれ、反対同盟、国、県、公団は受け入れた。

 共生懇談会は成田空港地域共生委員会として九五年一月十日、発足した。空港の建設と運用を第三者の立場から監視する組織の共生委は、円卓会議での合意事項(七分野二十二項目)の実施状況や空港が及ぼすマイナス面を点検、改善を求めるなど空港と地域の共生実現を目的とした。

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 監視を受ける側の新東京国際空港公団(現成田空港会社)は当初、説明員の立場で出席していた。同社の地域共生担当、伊藤斉常務(62)は「委員からの質問内容、口調は厳しく、お白州に座っているようで最初の二年ほどは辛かった。公団に対する不信感によるものか…」と会議の様子を振り返った。そして「不信感を払拭するためには、合意事項をどんどんこなしていこうという気持ちだった。話し合いを進めていく上では信頼されることが最も大切だった」とする。

 第四期(二〇〇一年)に入ると、国土交通省と同社は構成員に位置付けられ、ようやく委員と同じテーブルに着いた。伊藤氏は「合意事項への取り組みが認められ、パートナーとして信頼されるようになったと自負している」と話した。