アクセス充実で宿泊低迷 ホテル群は観光に期待 関連産業の明暗 【ナリタ30年 地域と空港】

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 「国際的にもそん色のない空港アクセスになる」

 四月九日、都内で開催された京成電鉄の新型スカイライナーデザイン発表会。花田力社長は自信に満ちた表情で語った。

 都心まで約一時間の所要時間がネックとなっている成田空港は、北総線経由で二〇一〇年度に開通する成田新高速鉄道と、その上を走る最新型車両の誕生で、世界の主要空港に引けをとらない交通網を獲得する。

 その裏で、輸送各社のしのぎ合いは激化している。成田国際空港会社の調査によると、空港利用者が最も使う交通機関は有料特急スカイライナーを含む京成。ほぼ互角で直行バスとJRが続き、全体の六割を占める三つどもえの様相だ。

 新鉄道の開通は京成電鉄にとって新顧客を獲得する好機と言える。これに対し、「大きなインパクト」とするのは、直行バス大手の東京空港交通(東京都)。JRも「快適性と利便性の向上で勝負」(千葉支社)と対抗姿勢を鮮明にした。

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 交通手段の進化の陰で、低調なのが空港周辺ホテルの宿泊需要だ。

 成田市と富里市の十五ホテルが加盟する成田地区ホテル業協会によると、開港当時ほぼ100%だった平均稼働率は、ここ数年で80%台まで低下した。空港利用者の伸びを見込んだ新ホテルの進出で総客室数が当初の二倍以上に増えたことも競争を激化させ、経営を圧迫。周辺十五ホテルのうち六ホテルで外資系企業に経営権が移った。

 宿泊需要が低迷する中、平均四百三十室を抱えるホテル群は、苦肉の策で対応するしかない。約七百室のあるホテルでは、航空会社との長期契約で客室乗務員らの宿泊需要を囲い込み、一日三百―四百室を確保。残りはアジアからの団体客などで何とか埋めるのが常とう手段だ。

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 発着回数の増加を目指す成田空港だが、「アジアのハブ空港は韓国に移っている」(ホテル関係者)とシビアな意見も。「空港周辺が観光地として成長しない限り、これ以上の宿泊需要は期待できない」。危機感は募る一方だ。

 この逆境で、企業研修やアジアの富裕層取り込みなど、各ホテルはそれぞれの得意分野で生き残りをかける。成田空港の相対的地位の向上や観光施策に期待を抱きつつ宿泊需要アップへ向け、周辺ホテル群の手探りは続く。