地域振興策で将来模索 残る住民の幸せどう構築 騒音との共生 【ナリタ30年 地域と空港】

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 空港の北側に位置する成田市久住地区では、二本の滑走路を離着陸する飛行機が通過。暫定平行滑走路の北延伸で、航空機騒音の増大も見込まれる。空港の恩恵が実感しにくい騒音地域だけに、県や市は地域振興策を住民に提示。住民とともに騒音と共生できる地域振興のあり方を模索する。

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 空港南側の用地確保が困難なことから二千五百メートルの平行滑走路整備を断念した国は一九九九年五月、長さを三百二十メートル短縮した暫定での建設を決定した。暫定滑走路が供用されることで同地区の市立久住中学校が飛行ルート直下に置かれることになり、落下物の危険性や騒音などから、市は同校が教育の場に適さないと判断。地区外の市立成田中学校に併設する方針を決めた。これによって久住地区には波紋が広がった。

 住民は、久住地区から中学校がなくなることで地域の活力が失われると猛反発。当時の市執行部は批判の矢面に立たされた。結局、同校は新市長の下で方針が変わり、地区内に移転する形で残った。

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 空港からの恩恵が実感できないまま騒音に耐えていた住民は二〇〇六年、暫定平行滑走路の北延伸に伴い、騒特法に基づく移転補償の協議の過程で、地域の活力や生活環境を取り戻すための地域振興策を県や市に求めた。県、市、空港会社は同年十月、同地区の代表者とともに「久住地区地域振興検討委員会」を立ち上げた。

 同委員会は〇七年十月に答申を出し、市が騒音実態を把握するための施設「環境ホール」(仮称)や、久住中学校跡地にパークゴルフ場を建設するなどの地域振興策をとりまとめた。農業振興へ基盤整備も打ち出したが、同地区の海保茂喜成田市議(53)は「農業基盤を整備したからといって農業が活性化するというものでもない」と、騒音下となった農村での地域振興の難しさを語る。

 海保市議は「騒音はなくせないが、これからも住んでいく住民のために整備すべきことは多い。騒音が少ないとして移転補償が認められなかった住民が、移転した住民より不幸であってはならない」と同地区の複雑な住民感情を代弁した。