「対アジア」見据え競争 世界の空港と航空自由化 首都圏の魅力向上急げ 【ナリタ30年 地域と空港】

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 国内では国際線の旅客数、貨物量とも成田は圧倒的なシェアを誇る日本の玄関口だ。一方で、北京五輪を控え経済成長を続ける中国では、上海・浦東、広州・白雲の両空港が近年相次いで開港。北京首都空港では、二月末に世界最大級の第三ターミナルビルが供用されるなど、東アジアで巨大空港整備が加速している。

 東アジアの躍進の影で日本が素通りされる“ジャパン・パッシング”を恐れる政府は昨年五月「アジア・ゲートウェイ構想」を発表。中国など東アジア各国との自由交渉や規制緩和の推進に加え、羽田のさらなる国際化と二十四時間化をうたっている。これを受け、四月からは全日空など各社が、羽田から香港など東アジアへ国際チャーター便を就航させている。

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 長らく世界二位を誇っていた航空貨物量では、二〇〇六年に韓国のソウル・仁川空港に追い抜かれた。仁川は今夏にも第三滑走路の供用開始が予定されており、国際ハブ空港としての地位を着々と固めている。

 昨年十二月、浦安市での八都県市連合フォーラムで、横浜市の中田宏市長は「国内空港のほとんどが仁川に飛んでいる。国内のビジネスマンはみんな仁川で乗り換えて米国、欧州に行く」と旅客の流出を懸念。

 成田空港周辺のホテル関係者ですら「アジアのハブ空港は既に韓国に移っている。航空機の着陸料も半端じゃないので、トランジット機が流れてしまっている」とささやく。

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 これに対し、航空行政研究の第一人者である一橋大学大学院の山内弘隆商学研究科長は「乗り換えで(旅客を奪われるのは)仁川だけ。貨物は旅客より将来性があるし、成田の競争力はなくならない」と分析する。

 ただ、成田ではエアラインが負担する離着陸関係料金は約五十九万円で仁川(約四十三万円)など東アジアの空港より高い。航空自由化の進展で、「サービスを上げるか、価格を抑えるかで、エアラインを呼び込む“お得感”を出す必要がある。競争しているという意識を持たないといけない」と警鐘を鳴らす。

 さらに、「経済力が落ちてきた日本に関心が向かなくなってきた。日本がパッシングされれば成田はいらないとなってしまう」と危ぐ。外国から首都圏に行きたいと思わせるだけの魅力を高めることが、成田の発展を支える―として、「ハードとして成田がダメなのではない」ことを強調した。