30万回前提に基本構想 国際空港都市づくり 要求から協力へ転換促す 【ナリタ30年 地域と空港】

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 三月末に開かれた成田国際空港都市づくり推進会議の会合で成田国際空港会社(NAA)は「(年間)三十万回までの発着回数拡大は可能」と成田空港のポテンシャルを説明した。

 平行滑走路が二千五百メートル化すれば発着回数が二万回増えるとはいえ、成田就航を希望、新規乗り入れを待つ国は四十カ国に及ぶ。『成田は狭い』というイメージが羽田の国際化拡大を助長していただけに、同会議会長の小泉一成・成田市長は「成田はまだ終わりじゃない。もっと伸ばせるというメッセージを送れた」と話す。

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 「市税のうち百三億円が空港関連の固定資産税。四世帯に一人が空港関係で働く。通院助成もこの四月から小学校六年まで引き上げた。インフラも圏央道、北千葉道路、成田に向かって道ができる」。小泉市長は空港のメリットを強調する。

 羽田に国際線の基幹空港の座を奪われれば、この果実を失うという危機感は地元経済界に強く、成田の発着枠拡大への動き出しも早かった。

 二〇〇七年五月には、成田商工会議所など地元経済人らによる「成田空港の機能拡充と地域経済の活性化を実現する会」が平行滑走路の三千五百メートル以上の延伸と、発着枠三十万回拡大を求め決議。県内の経済団体「千葉力創造研究会」も同年十二月、成田空港の機能拡充を求める堂本暁子知事への緊急提言の中で、三十万回化を要望していた。

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 発着枠拡大は住民にとっては騒音増加につながるとあって、NAAや県、小泉市長も「地元との合意が大前提」と口をそろえるが、一橋大学大学院の山内弘隆商学研究科長は「地元は要求だけでなく空港を盛り立てないと羽田に便が逃げて人も物も失う。二十二万回で良いならそれ以上伸びないし、(成田が)なくなるだけ」と手厳しい。

 〇六年十二月、山内科長が会長を務めた国交省の有識者懇談会で地元自治体に株式保有などを求めた本県の要望を、在京大手紙の委員が「盗っ人たけだけしい」と一蹴したことを挙げ、「あれは言いすぎだが、あのような感情を持つ人がいると地元も理解しないといけない」と要求から協力への転換を促す。

 小泉市長は「私も騒音地域の方と話してみて、協力したいという気持ちはあると分かった」という。今月三十日の推進会議では「三十万回を飛ばした時の空港都市づくりを前提」に空港圏環状道路や観光ルートなど、九自治体がともに推進できる施策を検討し、基本構想をまとめるという。