ネットギャンブル依存増 コロナ禍 現金使わず感覚まひ 千葉県、対策に課題も

ギャンブル依存症の啓発フォーラムに登壇する田中代表(右)ら=5月18日、東京都千代田区
ギャンブル依存症の啓発フォーラムに登壇する田中代表(右)ら=5月18日、東京都千代田区
「リスクを伝えることが大事」と語るギャンブル依存症問題を考える会千葉支部の宮本代表=5月18日、東京都千代田区
「リスクを伝えることが大事」と語るギャンブル依存症問題を考える会千葉支部の宮本代表=5月18日、東京都千代田区

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、オンラインカジノなどインターネットでギャンブルにのめり込む人が増えている。“リアル”で現金を使わないため金銭感覚を失いやすく、公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」には関連する相談が急増。千葉県はギャンブル依存症対策の推進計画を策定したが、オンラインカジノの対策は盛り込まれておらず、対策が現実に追いついていないのが実情だ。

 「最初は5万円ぐらいから始めたが、負けを取り返そうと倍率の高いゲームに手を出し、一日で最大1300万円を使った」

 東京都千代田区で5月18日に開かれたギャンブル依存症の啓発フォーラム。オンラインカジノに総額約2千万円をつぎ込んだ男性が登壇し、賭け金が膨れ上がっていった経験を打ち明けた。

 オンラインカジノは外国政府が認可した企業が運営し、ネット上で賭けトランプやスロットゲームができる。山口県阿武町からコロナ対策の給付金4630万円を誤って振り込まれた男=電子計算機使用詐欺容疑で逮捕=が「オンラインカジノに使った」と供述したことでも注目された。

 フォーラムを主催したギャンブル依存症問題を考える会によると、全国で実施している相談会でアンケートを取ったところ、2020年は相談者169人中、オンラインカジノにのめり込んだ人は7人(4%)だったが、21年は194人中20人(10%)に増えた。22年は5月20日時点で120人中15人(12・5%)に達しており、半数に500万円以上の借金があった。年代は20代が9人と若者が目立つ。

 同会の田中紀子代表(57)は「24時間どこでもできるので、コロナ禍で手を出す人が増えた。現金を使わないため金銭感覚を失いやすい」と指摘。同会は競輪事業者と連携し、来場者に依存症の程度を確認するテストを行い注意を促すなどしてきたが「オンラインカジノの運営者とは協力しようがない」と対策の難しさを語る。

 一方、県は今年3月、ギャンブル依存症対策基本法を踏まえ、対策推進計画を初めて策定。公営競技場での啓発ポスター掲示に加え、「のめり込み防止」のためATM撤去などを進める。ただ、県障害者福祉推進課の担当者は「公営競技もコロナ禍でオンライン券売が増えている。オンラインカジノを含めネット空間では対策の手が届きにくい」と課題を口にする。

 ギャンブル依存症は多額の借金や家庭崩壊などのリスクをはらむ。県計画の策定に携わった同会千葉支部の宮本雄二代表(45)は「今の若い世代はネットでギャンブルに触れる。今後さらに依存症が増える可能性がある」と警鐘。「依存症者を責めるのではなく、広くリスクを伝えるべき」と呼びかけている。

 県などによると、県内では当事者らでつくる自助グループが活動。本名や職業を伏せて集い、経験談や境遇を打ち明けることで依存症からの回復を目指している。


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