緊迫のウクライナ情勢 伝統弦楽器奏者カテリーナさん(35) 侵攻懸念の首都キエフに母「心配」

バンドゥーラ奏者として活動するカテリーナさん。祖国ウクライナに高齢の母親がおり「毎日が心配」と打ち明ける(本人提供)
バンドゥーラ奏者として活動するカテリーナさん。祖国ウクライナに高齢の母親がおり「毎日が心配」と打ち明ける(本人提供)

 緊迫の度合いを増すウクライナ情勢。同国出身で伝統弦楽器「バンドゥーラ」奏者の歌手、カテリーナさん(35)は日本で暮らしながら「心配な毎日」と漏らす。ロシアの侵攻が懸念される首都キエフに高齢の母親が1人で暮らすからだ。千葉県内でも活動するなど、日本とウクライナの懸け橋になっている“歌姫”は「戦争が始まったら2国間の問題にとどまらない。みんなで力を合わせて平和を」と訴えた。

 カテリーナさんはチェルノブイリ原発から約2・5キロ離れた町、プリピャチで生まれた。その約1カ月後に原発事故が発生。自宅を強制退去となり、家族でキエフの被災者向け住宅に避難した。35年がたった今も、その住宅に母親(68)が1人で暮らす。

 ロシアの不穏な動きに母親を日本に呼び寄せようとしたが、新型コロナの感染拡大で実現できず。コロナが落ち着くと、今度は「緊迫状態になり飛行機が飛べなくなっていた」。キエフから百数十キロのベラルーシ国内で、ロシアは大規模な軍事演習を展開。キエフを標的にしているとの報道もあり「避難できない母親が心配で、毎日が不安」とつらい胸中を吐露する。

 自身は原発事故で被災した子どもたちで構成された音楽団に入り、海外公演に参加。1996年に初来日し、2006年には演奏拠点を日本に移した。弦楽器のバンドゥーラ奏者として、さらに歌手としても祖国の音楽を紹介している。その傍ら、報道機関での翻訳作業なども担当。危機にさらされる母国のニュースを発信している。

 千葉県とのゆかりは深い。20年に千葉県の情報を発信する「チーバくんパートナー」に任命され、今年3月17日には一時期住んだことがある成田市内でふれあいコンサートを開く予定がある。

 ロシアはウクライナ東部の親ロ地域の独立を一方的に承認。「いきなりでウクライナ人はみんな驚いている」と憤りを口にしつつ「日本にいる私には何もできない。いろいろな活動を通して日本の人にウクライナのことや文化を知ってもらい、ウクライナに関心を持ってほしい」と求める。「戦争が始まればウクライナだけの問題ではなくなる。自分ごととしてみんなで平和を願い求めて」と呼び掛けた。


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