2021年12月4日 05:00 | 無料公開

成田空港の滑走路上で見つかったカメ。出発機に遅れを出すなど影響が出た=9月24日

カメが滑走路上を歩いているのを日本航空のパイロットが離陸直前に見つけた=成田空港
航空機の離陸を止めた“犯人”は1匹のカメだった-。成田空港で9月、滑走路上を悠然と歩くカメが保護された。パイロットの目視で見つかったものの、滑走路は一時閉鎖されダイヤが乱れた。一歩間違えば重大事故にもつながる“侵入者”をどう防ぐか。成田国際空港会社(NAA)は対策の検討に乗り出した。
(成田支局・渡辺翔太)
9月24日午前、A滑走路の北側を歩くカメを離陸直前の日本航空機のパイロットが発見。滑走路は12分間にわたり閉鎖され、安全が確認されるまで待機していた5機の離陸が最大15分遅れた。
万が一エンジンに異物が入り込むとどんな事態を招くのか。日航によれば、その影響は回転翼への傷から、エンジンの故障、火災や停止-まで、大小さまざまなリスクが考えられるという。
そのため、離陸直前のパイロットは入念な外部確認を行う。コックピットの目線は地上から高さ5メートル以上もあり、前方15メートル以内は死角になる。異物は小さいほど見つけにくい。
今回保護されたカメは体長約30センチ、重さ約2・1キロ。「パイロットが基本に忠実に注意していたからこそ見つけられた」と担当者。侵入者は西側に100メートルほど離れた調整池からやってきたとみられる。
滑走路や誘導路には毎年のようにカメが現れており、本年度は4匹が見つかっている。調整池は関係者以外近づけない制限区域にあり、飼い主が捨てたというケースは考えにくいという。
NAAの田村明比古社長は11月の定例会見で「バードストライクも含め運航に影響を与える事例をどうやって少なくするか日々検討している」と説明。カメの侵入を防ぐ障害物設置などを候補に挙げる一方で、生態系や動物の専門家の意見を参考に調整池の実態調査を進めるとした。
千葉日報だけの「社会」記事を見たい方