頼みはブルーシート 屋根吹き飛び再建に時間 高齢者多い館山の漁村 何をどうしたら… 【台風15号1週間】

台風で吹き飛んだ自宅の2階を見上げる小谷登志江さん=館山市布良地区(共同)
台風で吹き飛んだ自宅の2階を見上げる小谷登志江さん=館山市布良地区(共同)

 台風15号の影響で停電が続く館山市の中でも被害が深刻な房総半島南端の布良(めら)地区は、高齢者が多い漁村。強風を受けた家々の屋根には大きなブルーシートが目立ち、発生から1週間となった16日には、大雨で一時避難勧告も出た。

 「何をどうしたらいいのか分からない」。15日、2階の半分が吹き飛んだ家を見上げ、小谷登志江さん(77)は涙ぐんだ。台風の夜、ヘルメットをかぶり布団にもぐったまま携帯電話で119番して救助を求め、避難所に逃れた。1階の天井も落ち、足を踏み入れると水を含んだ畳が沈む。今後電気が復旧しても漏電の恐れから使えない。

 布良は漁業が盛んな地区だったが、近年は漁獲高が激減。若者は職を求めて去り、高齢化が進んだ。漁協組合員も10人まで減り、今年1月に周辺の組合と合併した。

 合併前の組合長で漁師の島田由紀男さん(75)は「漁業では食えないから、継がせる親はいない。若手は2人だけ」と話す。漁船に被害はないが「生活再建にめどが立たないと、漁どころではない」という。

 97歳の母と妻と暮らす家は屋根瓦が吹き飛び、東京から駆け付けた業者が屋根にブルーシートをかけてくれた。夜はまだ、ろうそくと懐中電灯。「早く電気がほしいが、当てにならない。諦めている」と肩を落とす。

 「必要なだけ持っていって」。港近くでは15日昼ごろ、ボランティアによる炊き出しがあった。炊き込みご飯とみそ汁は瞬く間に消え、住民につかの間の笑顔も。実施した東京都あきる野市のフードトラック協会の田野倉靖史さん(49)は「仕事を休んで来て良かった」と語った。

 16日昼すぎ。前日の深夜から降り続いた雨が上がると、住民は続々と公民館に集まった。ボランティアが配る弁当や物資を受け取り、安心した様子で声を掛け合った。

 東京電力によると、館山市全域の停電復旧にはまだ時間がかかる見通しだ。


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