母「指示断れなかった」 野田小4虐待死 娘への思い語らず

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 野田市立小4年の栗原心愛(みあ)さん=当時(10)=が死亡した虐待事件で、父親の勇一郎被告(41)の暴行を止めなかったなどとして傷害ほう助の罪に問われた母親のなぎさ被告(32)は16日、千葉地裁で開かれた初公判の被告人質問で「(勇一郎被告からの指示を)絶対にやらなくてはいけないという気持ちだった。怒られるので断ろうと思うことができなかった」と、虐待に同調した動機を述べた。

 「優しくていつも笑顔で明るい子でした…」。心愛さんの性格を問われ、ハンカチで涙をぬぐった。ただ、死に至らしめた娘へ伝えたい思いを何度も問われたが言葉はなく、うつむいたままだった。

 黒縁眼鏡を掛け、茶色のセーターに黒色ズボン姿で出廷。顔色は悪くやつれたような表情で、終始弱々しい口調で語った。質問内容を聞き返したり、考え込む場面が目立った。

 弁護側の被告人質問で、「これ以上やめて。通報する」と、虐待を制止しようとしたことがあったと明かした。直後に勇一郎被告が逆上し「胸ぐらをつかまれて床に押し倒され、馬乗りにされた」「苦しいと言ったらひざ掛けを口の中に突っ込まれた」と打ち明けた。

 心愛さんを連れて逃げようと思ったかを問われると、「出て行っても見張られるなどして行き先がばれて、連れ戻される」と当時の恐怖心を吐露。LINE(ライン)の家族や友人の連絡先を削除されたこともあったと述べ、「(会話する相手が)いなかった」と勇一郎被告による激しい束縛があったと訴えた。

 勇一郎被告の行為について「当初は思っていなかったが、過去を振り返るとDV(ドメスティックバイオレンス)だったのかな」と心境の変化を述べた。少なくとも2017年9月には虐待を認識していたといい「警察や児相、母親に相談すれば良かった」。娘を守れなかったことを悔いた。

 一方で、検察側が「勇一郎被告に頼まれたとはいえ、暴力を訴えたアンケートを見せても良いとする文書を心愛さんに書かせた。気持ちを考えたのか」と指摘すると、「断れば怒られると思った。(心愛さんを守るより)その気持ちを優先させてしまった」と肩を落とした。自身のストレスを心愛さんにぶつける気持ちもあったとした。

 検察側に「勇一郎被告とは今後どうするのか」と問われたが、沈黙を続けた。再度「はっきり別れると言ってくれれば良いが、心境は複雑か」と聞かれても答えることはできず、勇一郎被告との関係を断ち切れない様子をうかがわせた。