「ひどい事件」絶句 交流続く山武市民らに動揺 スリランカ連続爆破テロ

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東京五輪に向けて、スリランカとの交流を深める山武市。当時市長だった椎名千収氏(手前)がスリランカのカリヤワサム教育相(右)の訪問を受けるなど、行政間や市民レベルでさまざまに交流=昨年3月、山武市役所
東京五輪に向けて、スリランカとの交流を深める山武市。当時市長だった椎名千収氏(手前)がスリランカのカリヤワサム教育相(右)の訪問を受けるなど、行政間や市民レベルでさまざまに交流=昨年3月、山武市役所

 日本人1人を含む290人が死亡したスリランカの連続爆破テロを受け、同国と関係の深い山武市の市民らに不安と動揺が広がった。同市は来年の東京五輪で同国の事前キャンプ地になっており、市と国レベルから市民同士での交流まで、多種多様な関連事業が行われているだけに、関係者は「ひどい事件」と絶句。一様に心配する声が上がった。

 ◆派遣事業中止も

 山武市は、市内中高生をスリランカに訪問させる「市青少年スリランカ派遣事業」を実施。市教育委員会によると、計36人の生徒を派遣してきた。5回目となる今年は7月21~29日の予定で参加者を募集。先週開かれた事前説明会には男女計17人が出席した。

 訪問先の一つでもある国際協力機構事務所などを通じて情報収集を急ぐが、現地と連絡は付いていないという。担当者は「3カ月後に出発を控える中の事件。情勢などを分析し、今回は中止にする可能性もある」と話した。

 ◆市役所に募金箱

 市東京五輪・パラリンピック戦略推進室の担当者は「突然のことに驚いている。多民族国家と分かっていたがこれほど大規模な事件は想像していなかった」と戸惑った。

 近く、在日大使館に見舞いのメールを送る予定で、22日には市役所に募金箱を設置。支援態勢を整える。

 ◆早期の平穏願う

 一昨年に、スリランカの高校生13人を迎え、いちご狩りでもてなした「和苺苑」の浦野和洋代表(47)は当時を振り返り、「素直な子たちだった。きっと驚いていると思う。一日も早く元の生活に戻って」と願った。

 また、東金市などを拠点に同国の貧しい子ども320人以上を支援する「コスモス奨学金」を運営し、毎年現地を訪れている鈴木康夫代表(83)は「関係者に要請しているが、まだ奨学生の確認ができてない。長い内戦が終わり平和になってきたのに、大変なことが起こった」と気遣った。

 ◆滞在者、嘆きと怒り

 山武市で暮らす同国出身者も故郷の惨劇を悲しんだ。数カ月前に来日した主婦、カマラ・ウィジェーシンハさん(67)は「教会で祈っている最中に犠牲になったなんてひどい」とため息。

 事件現場の一つの教会からバスで30分ほどの場所に住むというスジーワ・ディサーナーヤカさん(47)はニュースを何度も確認しながら「犠牲者には近所の人もいるはず。なぜこんなにむごいことをしたのか」と涙を浮かべた。