遺族「反省一切ない」怒りと悲しみ 千葉地裁判決 印西睡眠剤混入事件

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 印西市瀬戸の老人ホーム職員ら男女6人が昨年、交通事故などで死傷した睡眠導入剤混入事件の裁判員裁判で4日、殺人などの罪に問われた波田野愛子被告(72)へ千葉地裁が言い渡した判決は、懲役24年だった。被告は終始微動だにせず判決を聞き入り、「はい」と返事した以外に言葉を発しなかった。交通事故死した山岡恵子さん=当時(60)=の次男(37)は判決後に記者会見し、「(被告に)反省が一切見られない」「優しい母で、もっと一緒にやりたいことがあった」と、怒りと悲しみをあらわにした。

 「嫌がらせだった」と睡眠剤を混入させた理由を述べ、殺意を否定していた被告。この日は、オレンジ色のタートルネックの長袖にグレーのズボン姿で判決に臨んだ。

 坂田威一郎裁判長が判決文を読み上げる中、山岡さんの死亡事故について言及した際には目頭を拭うしぐさを見せたが、「死亡事故を起こしてもやむを得ないと考えていた」と未必の殺意を認定、非難されても微動だにせず、同じ姿勢のまま証言台の席に座り続けた。

 「短いなと思った」。記者会見で量刑について問われた山岡さんの次男は、時折眉間にしわを寄せ、険しい表情で答えた。無期懲役を望んでいたことを打ち明け「(謝罪の言葉を)うわべでしか言っていない。自分がしたことに向き合っていない」と、怒りの言葉を並べた。

 事件当時、母親と一緒に施設で働いており、誇りを持って働く母親の姿に憧れた。自宅を改装して通所介護施設を開き、親子で仕事を続けることが夢だった。「一緒にやっていきたい思いが強くなった矢先だった」と悔しさをにじませた。

 自宅1階の母親の部屋はそのままにしてある。「片付けてしまったら、母が生活していたことがなくなってしまうような気がして…」。口を固く結んだ。

 老人ホームの施設長、寺田洋介さん(46)によると、山岡さんは地域との交流が盛んで、にぎやかな施設になることを願っていたという。寺田さんは被告に対し「自身が起こしたことにしっかり向き合ってほしい」と訴えた。

 一方、裁判員らの会見では、市川市の会社員、石川美高さん(21)が法廷での被告の印象を「反省の意を聞かれても答えられず、反省の色はあまりうかがえなかった」と振り返った。

◇印西老人ホーム睡眠剤混入事件 印西市の老人ホームで2017年、職員が目まいなどを訴え、同2月に山岡恵子さん=当時(60)=が交通事故で死亡、同僚女性(71)夫婦も同5月に交通事故に遭った。別の同僚女性(39)が同6月、波田野愛子被告(72)が飲み物に液体を混入する様子を撮影し、県警がこの女性への傷害容疑で逮捕。山岡さんに睡眠導入剤入りの飲み物を飲ませて事故死させたなどとして2回再逮捕した。被告は同12月に殺人罪などで起訴され、今年11月13日から千葉地裁で裁判員裁判が開かれていた。