市川など5市庁舎に 千葉県内、医療・福祉施設は5件 原発、スカイツリーも KYB免震不正

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習志野市役所地下に設置されている免震オイルダンパー=17日
習志野市役所地下に設置されている免震オイルダンパー=17日

 油圧機器メーカーKYBによる免震・制振装置のデータ改ざん問題で、千葉県では市川、浦安、鎌ケ谷、習志野、市原市の5市庁舎でKYBの装置を使用していることが17日、県のまとめで分かった。全国では東京スカイツリー(東京都)や原発の関連施設での使用も判明。東京五輪・パラリンピックの競技会場や、大阪など各地の都道府県庁舎にも設置されていた。企業や自治体は使用装置がデータ改ざんされたものかどうか本格調査を始め、影響が広がった。KYBは納入先への連絡を急ぐとともに、交換や補償を求められた場合の検討に入った。

 KYBの16日発表によると、千葉県内では建物36件に不正の可能性がある免震装置が使われていた。県の発表で、対象となる免震装置の施設は千葉8件、市川7件、浦安5件など15市34件で、残る2件は地域不明。用途別では住宅11件、市庁舎6件、医療・福祉施設5件など。市庁舎6件のうち市川市新第1庁舎は工事中で、免震装置がまだ納入されていない。県は「建設業界の信頼を揺るがすあるまじき行為。同社から詳細な現状報告を求め、装置交換工事の確認など速やかに是正指導をする」とした。

 大阪府の松井一郎知事は記者団に「不良品だ。補償してもらう」と述べ、交換などを求める考えを示した。菅義偉官房長官は記者会見で「誠に遺憾だ」と批判し、国土交通省に対応を指示したことを明らかにした。

 問題の装置は油の粘性を利用して建物の揺れを少なくするオイルダンパーで、KYBと子会社が基準の範囲内に収まるようデータを改ざんしていた。地震の際に設計通りの性能が発揮できず、建物への影響が想定より大きくなる恐れがある。

 KYBは不正の疑いを含めて全国の986件の建物に装置を納入している。建物の具体名を明らかにしていないが、自治体や企業が17日、KYB製ダンパーの使用状況を明らかにした。浜岡原発(静岡県御前崎市)や敦賀原発(福井県敦賀市)で事故の際の非常用施設で使われていることが判明。五輪施設や東邦ガスの防災拠点ビル(名古屋市)、通天閣(大阪市)、シャープ亀山工場(三重県亀山市)などにも設置されていた。

 KYBは不正な製品は全て取り換える方針を表明している。交換工事の際には一時的に建物が利用できなくなる可能性があり、納入先から補償などの要望があれば対応を話し合う。費用は未定としており、負担がかさめば業績の悪化が避けられない。

 KYBの不正には、少なくとも工場の検査担当者8人が関与していたことも分かった。不正な検査記録に8人の署名があった。KYBは外部調査委員会を設置。年内をめどに全容解明を目指す。関与した社員は上層部に拡大する可能性もある。