語り部減少、動画でも残す 「昔々の話じゃないよ」 後世への継承正念場 戦争経験世代1割に 【戦後79年千葉 忘れないで】(5)

手作りの防災頭巾を被って自身の戦争体験を伝える大野さん=8月8日、千葉市中央区の千葉県庁
手作りの防災頭巾を被って自身の戦争体験を伝える大野さん=8月8日、千葉市中央区の千葉県庁

 終戦から来年で80年を迎え、戦争を知る世代はかなり高齢化し、長寿社会でも徐々に数が減っている。県年齢別・町丁字別人口調査によると、今年4月1日時点の79歳以上の県民は66万2969人で、県総人口の10.5%。戦後生まれが人口の約9割を占める今、戦争の経験を後世にどう残していくかが問われている。語り部たちは動画への収録やオンライン方式で広く伝える模索にも取り組む。

(報道部・増淵あかり)

 大野礼子さん(89)は、長崎への原爆投下で大好きだった兄を亡くした。小中学校などに出向き、お手製の防災頭巾とモンペ姿で自身の被爆体験の語り部活動を行う。児童生徒には「本当にあった話だよ」「昔々の話じゃないんだよ」と伝えている。

 大野さんが住む松戸市には、以前は被爆体験の語り部が5人いたが、現在は大野さん1人だけになった。人手が足りない際は、違う地域から語り部を派遣してもらうことが多い。「戦争は絶対やってはいけない。語る人がいなければ私たちが ・・・

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