福田村事件 生き残った少年を自宅に泊めた刑事 子孫が墓前で祈り 野田 命の大切さ学ぶ機会に 関東大震災100年

祖父の栄太郎さんが眠る吉田家の墓前で手を合わせる龍二さん=野田市
祖父の栄太郎さんが眠る吉田家の墓前で手を合わせる龍二さん=野田市
吉田栄太郎さん(吉田龍二さん提供)
吉田栄太郎さん(吉田龍二さん提供)

 1923年9月1日に発生した関東大震災の5日後、東葛飾郡福田村(現在の野田市)で香川県からの行商団が同村や隣接する田中村(現在の柏市)の自警団に襲撃され、男女9人が殺された福田村事件。妊婦や幼児も命を落とす悲劇の直後、松戸警察署野田分署の刑事が、生き残った13歳の少年を自宅に泊め慰めた逸話が残る。今年は事件から100年の節目。「二度と起こしてはいけない」「命の大切さを学ぶ機会に」。刑事が眠る野田市内の墓前で関係者が手を合わせた。

(デジタル編集部・伊藤幸司)

 当時少年だった男性は心に深い傷を負い、故郷の香川県に戻り老成した後も周囲に事件を語らなかった。行商団一行が被差別部落出身だった社会背景もあったとされる。86年、埋もれた歴史に光を当てる香川県の元高校教諭らの聞き取りに惨事を打ち明けた。

 男性の証言によると、仲間がすぐ目の前で殺されるのを目撃し「取り乱し意識がもうろうとした」。少年を含む生存者6人は同署に1週間ほど保護された。「吉田さんという刑事がいて『うちに同じ年ぐらいの息子がいるから家へ行かんか』と言ってくれた。二晩ほど泊めてもらい、息子さんと遊んだ」。

 男性は94年に84歳で死去。晩年、家族に「吉田さんが忘れられない。一言お礼が言いたい」と話していたという。 ・・・

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