妥協ない父の教え財産 世代超え愛される製品 馬具(富里市) 【房総伝統の技 千葉県誕生150年】(5)

工房で作業をする池上さん=富里市
工房で作業をする池上さん=富里市
池上さんが手がけた鞍(ライディングショップ池上提供)
池上さんが手がけた鞍(ライディングショップ池上提供)

 競走馬育成牧場や複数の乗馬クラブがある富里市は「馬のふるさと」として知られる。同市の池上豊さん(80)は馬具職人歴約60年で、馬にまたがるための乗馬鞍(くら)や馬を引く道具を牛革を使って一つ一つ手作りしてきた。時代の変遷とともに職人が減少する中、父から受け継いだ2本針縫いなどの伝統的な技法を守ってきた。現在は修理を中心に仕事をしており、繊細で頑丈な作りが評価され、全国から注文を受ける。

 東京都中央区に生まれ、東京大空襲の疎開で2歳の時に富里に移った。亡き父、佐一さんは街を馬車が行き交っていた時代を知る職人で、皇族に献上する馬具に携わるほどの腕前だった。幼い頃から佐一さんの姿を見て技術を学び、高校卒業後、当たり前のように仕事を手伝った。一度嫌になり都内で会社員として働いたが、寂しそうな佐一さんの姿に「後を継いだ方が気が休まるのでは」と改めて弟子入りした。 ・・・

【残り 472文字】



  • Xでポストする
  • LINEで送る